そうだ!老害のギルドマスターに復讐しよう!
「おい!なんで出来ないんだ!早くやれ!時間がないんだぞ!」
ギルド内にギルマスの大きい声が響いた。
そして周りの冒険者や職員たちはこちらを可哀想な目で見ている。
あのー見てるんなら助けてくれても良いんですよ?
「取引先に迷惑をかけるわけには行かないだろ!」
だからお前はうっせえよ。
なんか言うのなら自分も手伝えよ!
「俺がお前くらいの頃は、もっとできる人材も向上心もあったのに今じゃこのざまだよ。はぁ、何でこうなったかな。」
だからうっせえよ。
老害クソジジイが!
まじで○ね!
はぁ、もうなんで今日の仕事終わってるはずなのにこんなことやらされてんのかな?
ちょっと今まで起きたことを思い出してみよう。
まず、22歳の時。
今から5年前だね。
このギルドで働き始めた。
まあ、最初の頃は楽しかったよ。
いい仕事仲間達、やるがいのある仕事、高い給料。
もう仕事場としては完璧な場所だった。
でも、働き初めてから2年が経った頃にあいつが来た。
名前はアイーシャ・クロイス。
大体50歳くらい。
世間でいう老害ジジイ。
昔の栄光にすがりついて自分の評価を肥大化させたクソ野郎。
まあ、偉い人なんだけどね。
昔は行政機関の幹部だったらしい。
うん。すごいんだよ?
すごいんだけどさ……そんなに頭がいい人なら何で老害ジジイになったのやら。
今は地方のギルマスなんだから行政機関の幹部からのすごい転落人生。
やっぱり昔からこんな感じでヘイト買いまくってたのかな?
だとしたら納得できる。
ちょっと話がずれたけどそのギルマスが来てからギルドはブラック企業へと早変わり。
サービス残業は当たり前。
受付だけだった私の仕事もだんだんと力仕事も増えていって週2回あった休みは週一回になった。
もうやだ。
そんなギルマスに冒険者も職員もみんな困っている。
でも、いくらうざくても権力に逆らった瞬間にクビが飛ぶ。
だから誰もこの状況を変えようとしていない。
ここまでが今までに起きたこと?なんだよね。
はぁ、まじで疲れた。
そのうち私ストレスで死ぬよ?
そしたら本当にお前のクビも飛ぶぞ!
……まあ、心のなかでどう思っていてもこの状況は何にも変わらないんだよね。
どうにか行動しないと。
そんなふうに考えてて3年間何にも出来てないんだけどさ。
「おい!お前何やってんだ!早く働け!」
「あの……少し手伝ってくださってもいいですか?」
「……は?何いってんだ?下っ端社員が何いってんだ?俺だって疲れてんだよ。わかるか?」
「…………す、すいませんでした。」
「はぁ、ちゃんと働いてくれないと困るよ。」
うっぜぇー!
こっちだってギルマスが働いてくれなきゃ色々と困るんですが?
お前今日働いてねーだろ!
国語力がないんですか?それとも自分を客観的に見る能力が無いんですか?
それから一時間後。
本来の業務終了時刻から3時間オーバーでやっと帰宅することが出来たのだった。
ただいまー。
まあ誰も部屋にいないんだけどさ?
……悲しくないよ?全然悲しくないよ?
自炊……はもういいや。
今日は早く寝よ。
明日は休みだしいっぱい寝ていっぱい食べてやる!
生活習慣病?
なにそれおいしいのの精神で過ごしてやる!
とりあえずパジャマに着替えて布団に潜り込んだ。
はぁ。
もう最近は全然お金使ってないからお金だけならたまりまくってんだよなー。
なんかストレスでこのお金は全然使わずに死にそう。
……そんな人生嫌だ。
てか人生ってなんだ?
人生……人生ねー……人生か……。
人生の時間は……100年くらい?
今は27歳だからもう3割終わってんのか。
えーっと?70歳くらいまで働くとしたらあと40年か……。
……え?あと40年も働かなきゃいけないの?
で、その間に多分あと最低10年くらいはブラックな環境で働くのか?
………………やだーーーーーー!
まじで困る!
てか人生の10分の1だよ?
絶対ヤダ!
よし決めた!
あのギルマスの鼻を思いっきり折ってやろう。
理由?
楽しく生きたいから。
それで充分でしょ。
で、どうやってあいつの鼻を折ってやるかっていう話なんだけど……
何してもあいつの顔に思いっきり泥塗れそうな気がする。
あいつほんとにいろんな方面からヘイトを買いまくってるからねぇ。
んーどうせなら表面上は私が悪いことしてないっていうことにしたいかど……。
…………よし。
考えるのやめよう。
時計を見ると夜中の0時だった。
難しいこと考えるのは明日ってことで。
ok?
ってことでおやすみなさい。
おはようございます。
さあ、ようやく休みです!
今日は美味しいもの食べます!
お金なら余りまくってるし少しくらい贅沢してもいいだろう!
ギルマスへの復讐を何するか考えろって?
―――あー今日はいい天気だなー。
違うんだよ!
別に復讐をしたくないわけじゃないんだよ!
ただ少しくらい遊んだって良いじゃないか!
こちとら一週間のうち一回しか休み無いんだよ!
午後から真剣に考えますから。
午前中くらいのんびりさせて下さい。
ってことで朝食を食べに行きますかね。
財布の中身を見ると○万円のお金が入っていた。
我ながら無防備というかなんというか……。
まあいっか。
いってきます。
さて、今日私がいただくのは……なんか……美味しそうな肉!
細かいことなんかわからない。
○○肉の〇〇〜○○風味を添えて〜
みたいのわかるわけねーだろ!
肉なんか全部美味しいんだからそんな細かいこと覚える必要なんかねーんだよ!
……これ私だけ?
まあ、いっか。
肉は早く食べなきゃ固くなるしぱっぱと食べよう。
私が今いるのはめっちゃ普通のステーキを売っている店。
やっぱ、庶民には普通のものが一番なんですよ。
それじゃいただきまーす!
「ん?―――じゃねえか。」
丁度美味しそうな肉を食べようと口に運んだときだった。
あろうことかギルマスが丁度店に入ってきた。
まじでさ!!!お前!!!空気読め!!!
何で休日にお前の顔を拝まなきゃいけないんだよ!
「…………」
「あ?返事なしか?」
「…………」
まじうぜー。
かまってちゃんかよ。
周り見てみ?
みんなすげー嫌そうな目で見てるよ?
みんな朝からステーキ食べるっていう罪悪感を抱えながら来てるのにさ!
あと、私が言えることじゃないけど何でお前朝からステーキ食べに来てんだよ!
だからデブなんだよ!
豚が!
「おいおい上司に挨拶もできないとか教育してやんね−とな!」
「………」
お前次私に話したらどうなるか覚えてろよ!
「そんなだからいつまでたっても結婚もできないんだよ””まな板””が。」
その一言は私を怒らせた。
「―――うっさい―――」
「あ?なんて言った?まな板さんや?」
「うっせぇっつってんだよ豚が!老害もいい加減にしろよ!なんだよお前公私混同すんなよ!自分のことも客観的に見れないのか?元行政機関の幹部様?いくら勉強できても人間関係も顔も体型も何にも出来ないくせにでしゃばんなジジイ!お前のせいでみんな迷惑してんだよ自覚あんの?無いよねw。人の顔色伺ったりしたこと無いもんねw馬鹿が。でしゃばんなよハゲ!」
「は?何いってんだお前?―――いい加減にしろよ?上司に向かって何を言うんだ!ッもうお前は解雇だ!」
「何言ってるんですか元行政機関の幹部様w?ギルドって国の機関ですよ?たかがギルマスの分際で人を解雇できるわけないじゃないですか?やっぱ馬鹿なんですねww」
「………」
ジジイは顔真っ赤にしてプルプルと震えていた。
あースッキリした。
言いたいこと言ったしステーキ食べよ。
あーあ。
せっかくできたてだった肉も冷めてきてる。
どうしてくれんだか……。
「それじゃどっか行って下さい?これ以上なんか言うのなら警察に突き出しますよ?」
「……上等だ!明日覚えてろよ!」
そう言うとギルマスは店を出た。
結局何も食べなかったけどやっぱ馬鹿だったのか。
それにしても見事な捨て台詞だったな。
……明日大丈夫かな?
ちょっと不安になってきた。
………………ま、いっか。
今はこの肉と向き合おう。
それじゃ今度こそいただきます。
……冷めても美味しい。まる!
次の日ギルドへ行くとギルマスが事情聴取されてた。
なんで?事情聴取って容疑者にやるんじゃないの?
「ねえねえ―――さん。昨日ギルマスに暴言履きまくったって本当?」
「え?何で知ってるの?あと、暴言じゃなくて―――。」
「あぁ、わかってるわかってる。どうせあいつがなんか言ったんでしょ?」
「……はい。」
まな板……
「あの人あなたを訴えるつもりが今までの汚職の証拠を見つけられて逆に職質されてんのよ?馬鹿よねw」
「ああ、そういうことでしたか。」
要約すると、私を訴えたら自分が違う事件で訴えられてるってこと?
ほんとに馬鹿だろ。
「私は事情聴取されないんですか?」
「あぁ、なんかもうその事件は不問にするらしいよ。何でか知らないけど。」
「ほんとになんでなんですかね?」
「なんか、いま【英雄】様たちがいないし、なんかアシラ様とその旦那様が新しい法案を可決したらしいわよ。」
「あぁ、あの二人が。」
「なんでそんな法案可決したのかしら。」
「えぇ。まあ私からしてみたらラッキーですけどね。」
次の日、ギルマスは解雇処分となった。
一つギルマスに送る言葉があるとすれば……ざまぁwwwwwww
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