番外編、最後の口上
突然、見慣れぬ赤い騎士が現れたのです。双子達を庇い、前に出るガウリアさんとお母様。トリーナさん、外で待機している兵隊さんを呼ぼうとします。
「お待ち下され!」
(え? 赤龍の口調が変わった・・・?)
「拙者、赤龍と申すは、龍神が化身。大国ザムの北方、新たに建国されたニルツ国、ラシル妃殿下の使いで参りました」
「・・・ラシル妃殿下?」
「は! 昨年ユミルを離れた後、縁あって龍人族に辿り着き、我が主、龍神の長たる金龍、別名アレクス・ユルザード大王とご婚儀相成り、仲睦まじく龍人国を治めておられます」
「龍巫女先生だ~」
タマキちゃん、喜んで前に出ようとするのを皆に押しとどめられます。だって、さっきからいい匂いしていたもん!
「ラシルさんの使いである証は?」
(えっと、何かない? あ、お母様に鎖をつけてもらった首飾り。赤龍、これ実体化できる?)
赤い騎士、首飾りを受け取ると、えい、と実体化に成功。
「こちらを預かっております」
失礼致す、と剣を鞘ごと差し出したまま、反対の手で首飾りをお母様へ。
「あら、これ確かにラシルさんに作って上げたものだわ」
お母様、首飾りの鎖、懐かしそうに見つめます。
「アルマー村に参りましたが、皆様何処かに出立のご準備中。様子が分からず、無礼ながら隠形にて中を伺っておりました。面目次第も御座らぬ」
「そうだったのね・・・」
「お許しいただけるなら、我がニルツ国よりユミル建国五百年の祝い、妃殿下自ら参る事やぶさかではございません」
「龍巫女先生、会いたい~!」
(うう、タマキちゃん!)
「わかったわ」
お母様、差し出された剣を返すと、押し頂くように受け取る赤い騎士。
「ところでさっき、アレクス・ユルザード大王と」
「は!」
「甦ったのじゃな?」
「はい! ラシル妃殿下の進むところ、大王に繋がる導きが常にございました」
「ふむ、するとあの金の指輪がそうだったか」
「そういえば、龍に求婚されたって言っていたわね」
「さあさあ、昔話はもう宜しいでしょうか? そろそろ出発のお時間ですよ」
トリーナさん、毅然とした態度で告げます。いよいよ最後の口上です。
「皆様との再会、妃殿下も楽しみにしておられます」
「そう、ラシルさん、じゃなかった妃殿下に伝えて。アサラ宮殿で貴女の名誉、必ず回復させます。そしたら気兼ねなく会えるわ。私達もその日を楽しみにしていると」
「有難きお言葉、必ずや伝えましょう! 然らばこれにて・・・」
柔らかな日差しが差し込む中、赤い騎士、そして幽体離脱した私、帰る場所を念じます。再びラシルズへ! 皆、また会える日を楽しみにしています・・・。
最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございました。




