番外編、見破られた気配
「姐さん、今日はどうします?」
翌朝、再びトゥルク訓練校の門の前、双子達を探します。でも、見当たりません。
「アルマー村に行きましょう!」
念じた途端、すぐに懐かしいアルマー村の入り口へ。ところが大勢の人で溢れ、兵隊さんもいっぱい。
「何かしら?」
今更、龍神詣ででもないし、そう思っていると村長さんとその奥様が来ます。
ああ、懐かしい・・・。
「妃殿下の天蓋車が通る前に、道の両脇で跪くようにお達しが出ているから」
そう言って皆に指示を出しています。妃殿下? まさか私? 違うわよね。
取り敢えず、人ごみを避け宿の方へ。
「さあ、姫様達、御仕度はよろしいですか?」
宿から聞こえる声、あれは奥様、トリーナさんです。でもどうして?
「もう嫌~」
タマキちゃんの声です。一体何がどうなっているの? こっそり宿に入り込む私。
この姿、誰にも見つからないわよね・・・。
「タマキ、約束したでしょ。一年だけ我慢するって」
「ぶ~」
「そうよ。ユミル五百年祭の間、仲の良い王族を演じて頂戴」
(トゥルクに着いた時見た幟、そういうことか。王族一家が仲睦まじい姿を、皆に見せる必要があるのね)
「お母様も言っていたでしょ。きっと、シュマさん、会いに来てくれるわよ」
「う~」
そっか、お母様も王族に戻る事、嫌がっていたのに妥協したのね。
でも、タマキちゃん可哀そう。
「さあさあ、嬢ちゃん達、そろそろ王宮への出立時間。早くしないと、投げロープ術さく裂じゃ!」
あ、ガウリアさんです。促されしぶしぶ支度するタマキちゃん、すると次の瞬間、
「そこじゃ!」
私めがけて、ガウリアさんの懐からロープが放たれます。
バシッ! ひぃ~!
「おや、儂も耄碌したか? 確かに気配がしたのじゃが」
ロープは、私の透明な体を突き抜け壁に刺さったまま。し、心臓に悪いです。ガウリアさん。
「ちょっと、用意できたの?」
ああ、お母様部屋に入ってきます。いえ、もう妃殿下です。化粧をして美しく着飾った姿、三国一の美貌に一層磨きがかかっています。
「そこよ!」
突然、お母様の懐から放たれたロープ。私の透明姿、鼻先を貫かれます。
(ひぃ~!)
思わず、声が漏れてしまいました。
「誰? 出て来なさい!」
「やっぱり居ったか。先ほどから姿は見えぬが気配はするのじゃ。おかしいと思ったわい」
(ど、どうしよう?)
(姐さん、俺出るよ)
赤い騎士、するり姿を現し左片膝立ち、鞘ごと剣を外すとお母様へ柄の方を向けました・・・。




