龍人語
建国準備にひと段落ついた私。ホッとしたのも束の間、ふらりやってきたのは、アルシュ国藩王ルドラさん、開口一番、私に詰め寄ります。
「ちょっと、ラシルさん。暫く連絡がないと思ったら、自分だけこんな面白い事立ち上げて・・・」
「え? いや、お久しぶりです。でも、どうしてここが・・・」
「ドゥルチに向かう隊商を邪魔してって言われた後、音沙汰なしよ! 一体いつまでなのよ?」
「あ・・・!」
すっかり忘れていました。スミマセン・・・。
「まあ、いいわ。ザムにも用事があったし、事情は向こうで聞いたわ」
相変わらず、御活躍ね! とルドラさんご機嫌です。
「あの、トゥルクの訓練校、どうなっています?」
「リムが頑張っているわ。落ち着いたら、こっそり見に来てあげて」
「・・・」
ああ、ミサトちゃんやタマキちゃん、どうしているかしら?
でも、そういえば私、まだユミル宮殿のお尋ね者でした・・・。
「何言っているの、建国したらアナタこの国の妃でしょ? ユミルも、何時までもバカな事しないわよ」
はあ、そうですか。でも、実は、私まだ・・・。
「それより、相談したいことがあるの。後で金龍に会わせてくれない?」
「はい?」
もちろん、ラシルさんも一緒にね、と意味ありげに私を見ます。
金の騎士、族長さんと新しい国境の視察に出かけ、戻ってきたのは夕方頃。
「この度の新たな建国、お慶び申し上げます。アルシュ国王からの親書、お持ちしました」
ルドラさん、恭しく金の騎士に跪拝すると親書を渡します。
「気の早い事だ、まだ建国宣言もしておらぬ」
「はい、その前がよろしいかと存じまして・・・」
「申せ」
「ありがとうございます。その前に、国名を何とお決めになったかお聞きしてよろしいでしょうか?」
「ラシル」
事務方は、私の担当です。
「族長さんから、"龍人国" と命名するよう要望が出ています」
「やはり・・・」
ルドラさん、族長さんも呼んでお話をさせてください、と神妙な面持ちです。
呼ばれた族長さん、通訳は金の騎士。
私、まだ龍人族の言葉、少ししか理解できません。
「申し上げます。龍人族の言葉、過去に龍の恩恵を受けた国では、そのまま呪となります」
「なるほど」
「例えば、"龍" を意味する龍人族の言葉、ラ、ロンガ・・・」
その瞬間、金の指輪、突然赤く輝きます。
「ひぃ~!」
「イニクヌート!」
金の騎士、すかさず叫びます。赤く光っていた指輪、すぐ元通りに。
ルドラさん、どうして龍人族の言葉わかるの?




