休戦
それから数日後、龍の騎士達は内陸の奥深く、大河の向岸へドゥルチ族を追いやります。力の差を見せつけられたドゥルチ族兵士、戦う意欲を失い次々と投降してきます。私は、お婆様達と後方業務に追われています。
「どうして、わが軍が捕虜の管理なのだ?」
戦闘は龍の騎士達に先を越され、増え続ける捕虜の管理に忙しいニキタさん、つい不満が口をつきます。
「そんな事より、この先の事を考えよ」
「言われなくても、それぐらいやっている!」
お婆様を睨むニキタさん、ここ数日小春日和が続き、山の雪解け水で河が溢れるそうです。
「雷が多かったからな」
「・・・」
そ、それは、青龍のせいではないですよね?
「アンタ達は、これからどうする?」
「・・・」
お婆様曰く、龍人族を自称する人々、龍の騎士の活躍を聞き続々と集まり続けているとか。
「金龍の意向、聞いておくれ」
「・・・はい」
ザムとドゥルチの緩衝地帯になるなら、建国に手を貸すとまで言われました。龍の背に乗り、あの龍人族の広い高原を飛ぶ爽快感、確かに病みつきになりそう。
「まあ、ゆっくり考えるが良い」
お婆様、そう言って笑います。
そして、その数日後、ドゥルチ族から休戦の申し入れがありました・・・。
休戦協定のため、ドゥルチの陣営に案内された私達、いきなり揉め事が始まります。
「我ら、龍の騎士と龍人族へ休戦を申し出る。ザムにではない!」
「何だと!」
ニキタさん以下ザムの武将たち、ドゥルチ族の言い分に怒りが収まりません。
「こんな休戦、認められるか!」
席を蹴って、その場を立ち去ろうとします。するとお婆様、
「それは、今我々が占領している場所、龍人族が治めるのは認めるという意味か?」
「・・・」
ドゥルチの代表者、暫く間を置き静かに頷きます。
「戦いは、そちらがグラニスへ砲撃を仕掛けたのが始まりだ。その埋め合わせはさせてもらうよ!」
その言葉で、ザムの武将たち、渋々席に座り直します。
「よし、改めて休戦協定の話し合いを・・・」
ドゥルチ族が退いた大河を境に、当面の国境が定められます。互いに安堵の雰囲気が漂い、こうして無事休戦協定が結ばれる事となりました。
「次は、アンタ達の仕事だよ!」
お婆様に言われるまでもなく、今まで村だった龍人族です。金龍と龍人族の族長さんを中心に、改めて建国について話し合われます。
そして、事務方に抜擢された私、お婆様の勧めで何人ものザム国の要人に面会し、建国に最低限必要な助言をもらいます。
「この忙しさ、既視感があるわ・・・」
訓練校立ち上げを思い出します。龍人村に戻れば、金龍に通訳してもらい、族長さんと娘さんに必要事項を伝えます。そして、約ニ月後、何とか形が出来上がりました。




