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命を継ぐ者(ラシル)の旅-逃亡編  作者: みのりっち
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戦況報告

さて、こちらニキタさんとお婆様。若旦那さんからの連絡を受け、半信半疑でドゥルチ族の動向を伺います。


「グラニスに向け、南下してきたドゥルチ大軍。国境前で龍人族と戦いを始めました」

伝令が飛び込んできます。


「ふん、どうやら本当だったようだね」

「だが、ドゥルチ族相手に戦えるかどうかだ」

ニキタさん、お婆様を(さえぎ)ります。あいつらには、何度も煮え湯を飲まされている。並の奴らじゃ歯が立たないはずだ。


「龍はどうだ?」

「今の所、報告ありません!」

あの娘、何考えている? 作戦でもあるのか? 若旦那さんからは、要請があるまで待機、という伝言しかありません。


「くそ、イライラする。どうして、我らが待たねばならぬ!」

俺たちは大国ザムの正規軍だぞ! ニキタさん、苛立ちを抑えられません。


「まあ、お手並み拝見といこうじゃないか」

「くっ!」

お婆様、気になるのはもう一つ。昨日、パルバクからドゥルチに向け、急ぎの鳥便が確認されています。あれは、一体何なのか?


「失礼します!」

お婆様の伴の一人、入って来て耳打ちします。なるほど、あの娘ただの馬鹿ではなかったか。


「何だ?」

「パルバクで、ドゥルチ向けの隊商が襲われたそうだ」

「ふん、それがどうした!」

「わからないのかい、奴らの補給路を断ったんだよ、あの娘は!」

この戦い、意外と早く決着がつくかも、とお婆様。そして一時後、


「大変です!」

血相を抱えた伝令、慌てふためき入ってきます。

「何だい、騒々しい!」

「南下してきたドゥルチ族、およそ一万の兵士が壊滅しました」

「・・・」

「ふん、龍人族の奴ら意外と早く片をつけたようだね」

「いえ、それが・・・」

伝令、何故か言うのを躊躇(ためら)っています。


「何だ、早く言わないか!」

ニキタさん、怒鳴ります。


「はい、龍人族約千人は後詰。ドゥルチ族兵士を壊滅させたのは、三人の騎士だそうです」

「何?」

「ちょっと待ちな、二人でなく確かに三人かい?」

「はい、間違いありません。金の騎士、青い騎士、赤い騎士だそうです」

やれやれ、(よみがえ)っちまったか、とお婆様。


「婆、どういうことだ?」

「お祖母様と呼べと言っているだろ!」

杖でニキタさんの頭、コツンと叩きます。


「大将に連絡入れな! 金龍が(よみがえ)った」

「な、何?」

ドゥルチが無くなる代わりに、厄介なものが出て来ちまったよ、とお婆様天を仰ぎます。

「まあ、今回はあの娘がいる」

一応、味方してやったから悪い扱いにはなるまい。お婆様ため息をつきました・・・。



やがて三人目の伝令、軍を進める様ラシル殿からの要請です、とようやく伝えるのでした。

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