金の騎士(改)
「アルの旦那、お勤めご苦労様です!」
「はい?」
二人揃って、金の騎士に挨拶します。ちょっと、青龍、赤龍、これどういうこと?
「アルの旦那、昔のある人の逆鱗に触れてさ。いえ、何でもありません!」
赤龍、金の騎士の顔を見て慌てて口をつぐみます。
「相変わらずだな」
金の騎士、懐かしそうな顔。へえ、こんな顔するのね。
まじまじと、金の騎士の横顔を眺めます。今まで二回しか、それも金龍の姿でしか逢ったことがないの。こんな人間的な表情、初めて。
「おい、アンタ・・・」
ベスタさん、戸惑いの声。あ、ごめんなさい。皆さんの事、すっかり忘れていました。
促され、私達一段高い岩の席へ。座面がきれいに窪んでいます。金の騎士が向かって右、私が左に座ります。
「それで、ドゥルチ族をどうする?」
金の騎士、不可思議言葉で族長さんと会話します。あっという間に作戦が決まりました。そして、
「ラシル、あの娘に癒しの舞を!」
「はい」
包帯姿の女性、族長さんの娘さんだとか。さっきからずっと気になっていました。金の騎士、私の思いを汲んでくれたみたい。それだけでうれしくなります。
「古の盟約に従い地に住まう地主神よ。グラニスの地、戦の巻き添えで傷ついた者が居ります。どうか、癒しの光、その者達へ届けられんこと、我が願いとして聞し召し給へ。我が名はラシル・・・」
魔方陣を描き、奉納舞を始めます。すると、魔方陣から小さな龍、現れて包帯姿の女性の上、金色に光り輝きます。
「アッ・・・」
光りに包まれた包帯姿の女性、自分自身の体を抱きしめます。次の瞬間、輝きを残し小さな龍、パッと飛び出し空へ駆け抜けていきました。
薄っすら金の光に包まれ、驚きの表情で、ぽんぽんと包帯の上から自分の体を叩き、腕を回す女性。そしてニッコリ笑い一言、
「オオキニ!」
どうやら大丈夫みたいね。傍では、ベスタさん、口をパクパクさせて驚いています。
翌日、族長さんの家を出るとびっくり。いつの間にか、見渡す限りの兵士達。早速金の騎士を先頭に、作戦が始まります。私は、ベスタさんとお別れです。
「ベスタさん、案内していただいてありがとうございました」
「いや、その・・・」
族長さんの娘さん、お礼と言って何やら重たそうな袋をベスタさんに渡します。中を見て、ぎょっとするベスタさん。結構な数の金貨が入っています。
「こんなにいいのかい?」
コクリと頷く族長の娘さん。ベスタさん、満面の笑みで村を後にしました。




