タルム寺院
都ラーヴィに辿りついた私達、翌朝タルム寺院を目指します。
「ここかしら?」
都大通りの北、朱塗りの立派な門構えの寺院があります。道行く人に聞いてみると、ここがタルム寺院とのことでした。
「すごい・・・!」
寺院の中には、巨大な神像、あの鳥、ラホン様? も祀られています。早朝にも関わらず、ひっきりなしに訪れる参拝者、線香の煙が立ち込めます。
(鳥族と猿族が最初に祀りあった場所、どこかしら?)
お婆様、この寺院の敷地にあると言っていました。参拝後、境内を探すのですが見当たりません。
「あの、すみません・・・」
寺院の関係者らしき人に声を掛け、案内してもらいます。連れて行かれたのは、裏庭にある大樹と傍の小さな碑・・・。
「え? こんな場所に?」
「はい、元々あった古い神殿を取り壊し、この寺院が立てられました。この碑は、その時作られたものです」
大樹は、神殿時代のものかわからないとのこと。
「あの、ここで奉納舞を捧げたいのですが・・・」
「奉納舞なら、寺院で受け付けていますよ」
そうおっしゃるのを、この場所でさせて欲しいと頼むと怪訝な顔。
でも、ご自由にどうぞ、と言い残し去っていきました。
許しを得た私。小さな碑の前、ユミル修行道場で見た光景に思いを馳せます。
「争いの中、祀りあった鳥族と猿族の方、感謝を申し上げます・・・」
そして、静かに奉納舞を始めました。
もつれあう種族間の溝、どうしたら埋められるか? 和らぎを意識して舞い続けます。どれくらいたったでしょうか? 突如、懐の水晶玉から苦い思い、私に向けて放たれます。
「うわっ・・・」
(この感じ、お婆様かしら?)
頭に映像が思い浮かびます。グラニスの街への砲撃、敵を殲滅させる青い龍と赤い龍。襲撃部隊が全滅して、報復の軍を寄越す気配のドゥルチ、その報告に頭を抱える、ニキタさんとお婆様。
「あの女、探し出して厳罰を!」
二人が叫んでいます。
私、街を攻撃から守ったはずなのに、火に油を注いだのかしら・・・?
舞を終えると、寺院を出て若旦那さんの店に駆け込みます。
「おや、ラシル殿、早いお戻りで」
まだ、月末まで数日ありますよ、とにこやかに笑う若旦那さん、
「あの、すみません。急用でいつ戻れるかわかりません。暫く代金を預かっていただけますか?」
「訳をお聞きしてもいいですか?」
穏やかに話す若旦那さんに、一部始終を話します。すると、
「戦になるかもしれないのですね?」
急に小声で、しかし目の色を輝かせる若旦那さん。
ああ、この人、やはり商人だわ・・・。




