堪忍袋
買い物をして、手持ちが心細くなった私。後は、店を眺めるだけです。帰りは、都ラーヴィまで携帯食で過ごすしかありません。
(水晶玉があるから、もう道に迷わない)
月末までまだ一週残っています。都に着いたら若旦那さんの店で換金しよう、そう思った時、
カンカンカン!
辺りに半鐘が鳴り響きます。 何かしら?
「ドゥルチだ!」
皆、その声を聞いた途端素早く店じまいを始めます。
一方、急ぎ足で立ち去る見物客達。呼び止め尋ねると、隣国の部族が攻めてくると言います。
「なあに、二日もすれば軍が助けにやって来るさ」
商人風の男、落ち着いた様子で教えてくれます。それまで、街に立て籠もるようです。
(どうしよう・・・? )
軍が来れば、また余計な詮索をされるかも? お金もないし、早く都に戻りたい。
そんな事を考えながら広場の片隅に留まっていると、ヒュンと何かが飛んできます。
「危ない!」
思わず身を屈めると、突然、鈍い爆発音が響きます。
「キャー!」
バラバラと崩れ落ちる壁の音、同時に悲鳴が上がります。そして、再び鈍い爆発音、
「うわー!」
今度は、広場の真ん中に落ちます。逃げ遅れた人が巻き添えになったようです・・・。
(このまま、放っておけないわね・・・)
門に向かえば、逃げ惑う人々と門を塞ぐ兵士達でごった返しています。その間にも、鈍い爆発音が絶え間なく鳴り響きます。
(姐さん、追い払いますか?)
青龍の問いかけに悩みます。う~ん、そうしたいけど目立ってしまうのも・・・。
(大丈夫だよ。あの飛び道具だけ壊せば!)
(赤龍、出来るの?)
(兄貴が、雷撃を落とせば・・・)
(ええ、高い所から見下ろせれば落とせます)
そう、わかったわ。
でも、門を守る兵士達、お願いしても、押し寄せる人の波を抑えるのに忙しく、取り合ってくれません。
「ダメだ! 大人しく避難していろ!」
そうよね・・・。
さて、どこか他に場所は? 辺りを見渡すと、寺院の尖塔らしきものが見えます。
(あそこは?)
人波に逆らうように離れ、寺院に向かいます。避難している人達で混雑する中、塔に上がる階段を探します。
(ここかしら?)
見つけた小さな扉、でも鍵がかかっています。その時、ズシーンと体に響くひと際大きな振動。やがて、バキバキと大きな音がして寺院の一部が壊れます。
大きな悲鳴とどよめきが寺院に響き渡ります。もう、いいかげんにしてよ!
(赤龍、青龍、打って出るわ!)
(姐さん、さすが~!)
誰だろうと、許さない!




