買い物
気を取り直し、市を見物することに決めた私です・・・。
物珍しさにワクワクしながら、見た事もない服や食べ物を売っている出店を見て回ります。空腹に耐えかね、大きな具入りの麺麭を買ってみます。
「おいしい!」
香ばしい湯気がたつ白い麺麭、中にはぎっしり肉や野菜の具材。思わず、笑みがこぼれます。隣は麺料理でしょうか? スープに入った麺を、おいしそうに啜っています。
暖かいお茶を飲み、落ち着いたところでさらに店を見て回ります。これだけの店数、とても一日では回り切れません。すると、
「すごい、ザムにもあるじゃない!」
なんと、命の種を宿す実が売っています。私は、袋一杯分の実を買って名前を教えてもらいます。
「ドーシャの実さ、魔除けに使う。腕のいい術師は、これで病気を治したりもする」
「へえ~」
「お姉さん、とっておきがある!」
そう言って見せてくれたのは、色とりどりの鉱石。これは、恋愛成就にぴったりだ、長々と説明されるが丁重にお断りします。
「それより、龍の置物はないかしら?」
「龍?」
明らかに、機嫌が悪い声です。
「さあな、彫刻は、あっちの端の店にあったかな?」
素っ気なくそういうと、別の客に声を掛ける店主。龍は、評判悪そうね・・・。
私は、店主に教えてもらった方へ進みます。すると、壁際の出店、石の彫刻が並べてあります。でも、ほとんど神像や鳥かしら?
「あ、あった・・・!」
一番隅っこに、小さな緑石への彫り物。まぎれもない龍です。
「これおいくらですか?」
色鮮やかな服を着た女性に尋ねると、
「イッタルニア」
「え?」
意味が分からない・・・。
私が首を傾げていると、その女性、私の金の指輪を指します。
「これは、ダメよ。交換できないわ」
私の言葉に、その女性、指で輪を作り片手を広げます。
ん? 何だろ? 指輪? 金? あ、金貨? 私は、懐から、そっと金貨を一枚取り出します。すると、コクリ頷く女性、片手を広げます。
「そっか、金貨五枚なのね・・・」
「イッタルニア」
う~ん、結構高いわね。宝玉を使っているのかしら? 私が諦めて帰ろうとするとその女性、小ぶりの水晶玉を取り出し、龍の彫り物の横に並べます。
「イッタルニア!」
満面の笑みでこちらを見ます。水晶玉付けてくれるのね? 金貨五枚払うと、手持ちが残り僅かになるけど、まあいいか。
私は、金貨五枚を渡します。すると、その女性、ニッコリ笑って龍の彫り物と水晶玉を私の方へ。
「マイド、アリー」
「え?」
商人が使う言葉です。一体、誰が教えたのかしら・・・?




