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命を継ぐ者(ラシル)の旅-逃亡編  作者: みのりっち
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初春市

アマルラの街外れ、私達は猿王さんと同行者さんに別れを告げます。


「猿王さん、お元気で! あ、二回目かしら? この挨拶・・・」

「ラシル殿も元気で」


苦笑しながら挨拶を交わす猿王さん。

同行者さん、こちらに手を振り、急ぎましょうと言いながら去っていきました。


「さて、私達も都に戻りましょう」

そう言って踵を返すと、頭巾姿の男が待ち受け、私に(ひざまず)きます。


「私、カウアと申します。先程言いかけたこと教えて頂けないか? とお婆様からの言伝です」

「あら、ええいいわよ」


(姐さん、こんな奴らに話す必要ないよ)

(赤龍、いいじゃない。放っておけないでしょ)

(姐さん、お人好しだよ・・・)

赤龍、反対しますが、カウアさんに命の種を宿す樹を使った封じ方を教えます。


「命の種を宿す樹ですか・・・?」

「ええ、私達はそう呼んでいるわ。アルシュやユミルには、普通に生えているけど・・・」

ザムにはないのかしら? 私の言葉に、カウアさん、お婆様に聞いてみますとのことでした。


「それで、帰路はこれをお使いください」

カウアさん、簡単な地図を渡してくれます。


「どうもありがとう。助かるわ!」

「いいえ、では月末にタルム寺院向かいの店でお待ちしています、とのことです」

「ああ、若旦那さんのお店ね」

お婆様とは、再度そこで待ち合わせる事になり、カウアさんを見送ります。


私は、地図を片手に、都ラーヴィを目指すことにします。ところが、街道を下って三日目、目印にある次の街になかなか到着しません。


「おかしいわ、何か変よね? 地図が間違っているのかしら?」

地名を示す標識がないので、自分が今どこにいるのかわかりません。でも、街道は、人が増え始めています。


「人がいるから、多分大丈夫よね・・・」

皆、同じ方向を目指しています。多分、ラーヴィを目指しているのよね? 勝手に思っていたその日の午後、ようやく道標らしきものを発見。そこには “グラニス” と書かれていました。


「グラニス?」

カウアさんに頂いた地図、街の名前は伏せられていま。ここが目印の街かしら?


街の中心にある大きな広場、沢山の出店が並び、大勢の人で賑わっています。着飾った人達、荷駄をたくさん運ぶ方、驢馬のような動物を数多く従えている方も。


“ようこそ、グラニスの初春市へ!”

そう書かれた(のぼり)があります。あれ? ここもしかして、猿王さんが目指していた場所? 私、反対方向に来たのかしら?


そう、地図の読めない私でした・・・。


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