龍の道
その後、スグルさんに連れられ、裏庭から少し離れた小さな井戸に着きます。
(座主様達が作る井戸と同じだ)
広い円が段々と狭まり、それぞれ小さな階段で結ばれています。
「この井戸は、どなたが作られたのですか?」
「さあ、かなり昔に作られたことぐらいしかわかりません」
私は、スグルさんに自分の誓いを説明し、奉納舞をさせてもらいます。
「どうか、ご照覧あれ」
井戸の前に供物を並べ、私は静かに舞を始めました。
(そういえば、ここは鳥族の聖地だったのよね)
ふと、そんな思いが頭をよぎった時、辺りに荘厳な気が漂い始めます。私は、その気配に導かれるように、聖山の神殿での舞を思い出さずにはいられませんでした。その時です、
(姐さん、済まない)
突然、青龍の声が一瞬聞こえます。大慌てで舞を終えると、指輪の中の赤龍に呼び掛けます。
「ねえ、さっき青龍の声が聞こえなかった?」
「うん、兄貴、マズイ事になっちゃったみたい」
封じられたらしい、と赤龍も戸惑っています。どうしよう、どうすればいい? 私は、スグルさんに状況を説明します。
「もし、龍を封じたとすれば、恐らく封印場所は祖母が居た街、アマルラの地下遺跡にあります」
でも今は、兵士が管理しています、とスグルさん。
「それでも、私あの子を助けに行きます!」
「わかりました」
井戸に横穴があり、恐らく封印場所まで通じているはず、とのこと。座主様の井戸と同じだわ!
「赤龍、じゃあ行くわよ!」
「姐さん、待って。俺、兄貴と違って水の中苦手」
「え?」
「冷たいし、水の中は方向が分からないし、やっぱり水の中は兄貴が一番」
何それ・・・!
「何言っているの? 青龍を助けに行くのよ」
「うん、空飛んで行こうよ!」
「・・・」
赤龍、水は嫌だの一点張り、最後は泳げない、と言い出す始末。見かねたスグルさん、夜になって空を飛べばどうか? と助言をくれます。
(う~ん、赤龍じゃないけど私、高い所は苦手なのよね)
ふと先ほどの話を思い出し、念の為きいてみます。
「話変わりますが、この辺りにも、龍族が住んでいたのですか?」
「ええ、聖山の近くに住んでいたと聞いたことがあるわ」
でも、昔の話です、とスグルさん。近くに洞窟がないか、と聞いてみると、
「あったような気もするけど、行ってみないとわからないわ」
封印の近くに井戸、そして龍族の存在。恐らく、洞窟の中に壁画があるはずです。
「スグルさん、案内していただけますか?」
青龍、必ず助けるから!




