弟子入り
翌朝、早速スグルさんの講義が始まります。
「そもそも呪文は、身を守る結界を作りだすもの。それを、文様を使って封印に書き換えるのだそうです」
(へえ、そうなのね・・・)
「まず、呪文です。違いは、外から解除できるかどうかです」
外から解除できない強力な封印は、魔神を封じるために作った石室に繋がるのだとか。でも青龍から聞いた、無敵将軍の呪文がありません。
「あれがないわ・・・」
「あれって何ですか?」
スグルさん、に問われて思わず答えます。
「る・・」
(姐さん、言っちゃダメ!)
素早く、赤龍が止めに入ります!
「る、類似の呪文はあるのかしら・・・?」
「・・・類似ですか? 私が知っているのはこれだけです」
危ない、うまく誤魔化せたかしら?
その後、仕組みやどのような効果があるかも教えてもらいます。
「次は、文様です。これは、昔の龍族の文字ではないかと言われています」
「え? 龍族?」
「はい、でも今は模様として伝わっているだけです。残念ながら、龍族は、随分と昔に絶えてしまったので、もう今は誰も読めないと思います」
(ちょっと、赤龍、龍族っていたの?)
(いや、姐さん、聞いたことないよ)
スグルさん、私達の会話を苦笑いして聞いています。
「ラシルさん、龍族とは、人間と龍との間に生まれた方の事です」
「あ、あの、どうやって龍と人との間に子供が生まれるのですか?」
「まあ!」
ラシルさん、いい年をして知らないとは言わせませんよ! スグルさん、そう言って軽く私を睨みます。
「龍は、人に転じることができるでしょ!」
「あ・・・」
そうか、金龍も人に変身するのね。とんでもない事を想像して、あ、いや、何か安心しました・・・。
「文様の種類は、それぞれの呪文と対になっています。正確に覚えて下さい・・・」
こちらも二つ教えてもらったのですが、訓練校の庭の文様と少し違うようです。
「因みに、昔の封印の近くには、大昔に掘られた井戸があると言われています」
「それって、癒しの井戸のことですか?」
スグルさん、鼻眼鏡を押し上げ頷きます。封印には、清浄な水が欠かせないのだとか・・・。
「この近くにも、井戸はありますか?」
「ええ、よかったら後でご案内しましょうか?」
私は、喜んで案内してもらうことにします。
スグルさん、私の手を取りしげしげと指輪を眺めます。
「その指輪、随分と封印を越えていますね?」
体に、龍の気質が移らないといいのですが、とスグルさん、心配そうです。私、赤龍のように炎を吐けるようになるの・・・?




