毛布の牢獄
舞台は、再びスグルさんの家に戻ります。青龍から、封印試しの許しを得た赤龍、やる気満々です。
「赤龍殿、説明をさせてください」
「おお、何でもいいぞ、薬師の姉ちゃん!」
赤龍、ちょっと、その口の利き方止めなさい! スグルさん、笑って構わず続けます。
「この毛布を、貴方の上から掛けます。それを、外せば封印は解けたことになります・・・」
「へ?」
赤龍、ポカンとしたままです。
「え?それだけですか?」
「姉ちゃん、もっと大がかりな物あるだろ? 地中奥深くに封印するとかさ?」
私達の突っ込みに、苦笑するスグルさん・・・。
「その場合、もっと多くの人数で封印が必要です。それに、人に知られたら良くないですよね?」
「・・・」
「赤龍、不満かもしれないけど、スグルさんの言う通りね」
こんなの子供騙しだよ、とブツブツ文句を言いながら、赤龍、しぶしぶ床に座ります。
「では始めます。解除したい場合、ラシルさん、貴方がこの毛布を外してください」
外から封印を崩せる呪文にします。スグルさん、そう言って何か唱えながら赤龍に毛布を掛け、文様を描きます。
「ではどうぞ・・・」
「・・・」
私は、赤龍の上に掛けられた毛布をじっと見つめます。でも、毛布が揺れるぐらいで何も起こりません・・・。
「え? 赤龍、どうしたの? もう、外していいのよ!」
そこに居るはずの赤龍、全く反応が感じられません。
「これ、もしかして封印されているのですか?」
「はい・・・」
スグルさん、私の問いに微笑みますが額に一筋の汗・・・。
「こんな仕掛けでも、一人で封じるとなるとさすがに大変です」
「あの、何がどうなっているのでしょうか?」
スグルさん、秘伝なのであまり話せませんが、と言い簡単に説明してくれます。
「そうですか、外側は牢獄でも布でも何でも良くて、中に仕掛けがあるのですね?」
「はい、大体そんなところです・・・」
私達が話している間も、毛布は僅かに揺れるだけ。赤龍、全く出られそうにありません。
「あの、スグルさん、外側から封印を崩せない場合、どうするのですか?」
「さっき言った通りです。中の仕掛けを越えます」
スグルさん、やってみますか? と私の顔を覗きこみます。
赤龍、中で動けないのかしら? いやそんなはずはない。金龍は、封印されても動いていた。
あ、そうか!
(もしかして、封印の中で眠らされている?)
「ええ、私、封印の中に入ります!」
そう言って、被せられた毛布の上、金の指輪を押し付けます。
気が付くと、そこは薄明るい巨大な毛布の中、赤龍が何かに巻き付くように眠っていました・・・。




