真相
私、自分の記憶をぼんやりと辿ります。聖山を廻って、ラホンさんが降りてきて、その後確か・・・。
「フェイさん、鳥族のまとめ役の方に何か言われたのですね」
「・・・」
フェイさん、顔を背け返事をしません。
「何となく覚えています。私、誰かに何かを飲まされたと同時に、フェイさんは何処かに飛び立った」
あれは、気付け薬でなく、幻を見せる薬ですか? そう尋ねると、フェイさん、びくっとします。
「私、知らない。だって、薬師を呼びに行ったのよ!」
「それは、怪我の手当て? それとも遺体を確認させるため?」
静かに尋ねるスグルさんの言葉に、沈黙が流れます。そして、フェイさん、ようやく口を開きます、
「そうよ、頼まれたわ!息子さんが戦から戻らないので、無事を祈るため聖山にお参りに来たそうよ。でも、龍に殺されたって宣託を受けて。だから、貴方が龍使いだって教えたのよ!」
「こんな所までのこのこやって来て、あなた、何様のつもり?」
語気も荒く、私を罵り続けます。
「そうだったの」
私は、鳥族のまとめ役の方を思い出します。明るく振る舞って、そんな切ない願いを抱えていたなんて少しも感じさせなかった。
「龍使い?」
その一方、私に驚きの目を向けるスグルさん。
(スグルさんも、警戒した方がいいのかしら? でも、まずはフェイさんね)
「フェイさん、あなたを含めこれまで良くしてくれた鳥族の方へ、まずお礼を言わせてください。そして、鳥族まとめ役の息子さん、お亡くなりになって残念に思います」
これは、私個人の意見です、と前置きして言葉を続けます。
「でも、命の危険にさらされた事、残念ですが、許すわけにはいかないわ」
「だから、運命を委ねる儀式にしたのよ。でもアナタ、大丈夫だったでしょ!」
ああ、そうか・・・。
直接手を下さず、生死を私の運命に選ばせたのね。
「私は、ここに戦いに来たのではないのです。それはお婆様にも伝えてあります」
お婆様という言葉に、びくっ、と反応するフェイさん。
「フェイさん、お婆様に伝えて下さい。私、これから一人で行動します」
「え? 何よ、急に! 私、悪いことはしてない。お婆様は、私と一緒にいるよう言われたでしょ?」
「他国に攻め入る側に加担したまとめ役の息子さん、何も悪い事はしていないの?」
「え?」
フェイさん、あなたも同じ。
息子さんを龍に殺された鳥族のまとめ役さん、あの溝の底、やるせなさを思い出します。今の私、まだ埋められそうにありません。




