スグルさん
舞台は変わって、鳥族の聖地で薬師スグルさんに出会った私、幾何学模様の呪いの話を詳しく聞くため、スグルさんのお宅にお邪魔します。
そこは、鳥族の発着所の反対側、小さな街の片隅にお家がポツンと建っています。
「どうぞ入って!」
案内された部屋には、小さな龍の置物、浮彫、絵が飾られています。
「まあ!」
その光景に、思わず声を上げずにはいられませんでした。
「スグルさん、龍がお好きなのですか?」
私の言葉に、スグルさん少し恥ずかしそうに頷きます。
(もしかして、シュマさんと同じ?)
ところがフェイさん、それらを落ち着かない様子で眺めます。私は、気になってスグルさんに尋ねてみました。
「ザムで、龍は歓迎されてないのですよね? これらは、何処で手に入れたのですか?」
「置物や浮彫は、祖母から貰いました。絵は自作です」
「すごい、上手です! 本物そっくり!」
「本物?」
「あ、いや、生きているみたいな迫力です。そ、それで、あの模様はどうしてご存じなのですか?」
別に隠す必要はないけど、思わず話をそらします。
「私の祖先は、各地を移動しながら呪術を行ってきたの」
「そうですか」
(お婆様の関係者かしら?)
「主に、魔物封じですが、龍を封じたこともあるそうです」
だから、封印の模様を知っているのです、とスグルさん。
「ちなみに、それは何処で?」
「ザムの北方です。封印してある地域は、今は兵士の管理になっています」
(へえ、知らなかったわ。ザムにも龍がいたのね)
その後は、模様の意味について教えてもらいます。元々は模様でなく古代の文字が転じたそうです。
「だから、模様を間違えると、危ない場合もあるのです」
ラシルさん、本当に何もありませんでしたか? とスグルさんが私の顔を覗き込みます。
「あの、実は、現実と区別がつかない夢を見て、崖から・・・」
「やっぱり」
スグルさん、私の言葉を受けてフェィさんを見つめます。
「え? 違います。私、山から薬師の貴方を探して、ここに連れてきたのよ」
「じゃあ、他の鳥族の方かしら?」
「知らないわ。単に間違えただけじゃないの?」
フェイさん、語気を強めます。
「もし、その気なら、わざわざ麓まで運ばないでしょ?」
その通りですが・・・。
「あれは、守りの模様ではないわ。それに、聖山で人を殺めると結界の力が弱まるのよ」
鳥族の人は、日和見主義って言われているの。ご存じ? と真顔のスグルさん。
(え? まさか?)
思わず、フェイさんの顔を見ます。




