双六勝負
軍服の男について行くと、街周辺は兵士が巡回し、入り口は厳重な警戒。しかし、そのまま通されます。その街の名は、アマルラ・・・。
「少し窮屈だが、くつろいでくれ」
そう言って通された兵舎の一室、長椅子に座る様勧められます。どうやら将校級の部屋の様です。
「私は、ザムの北部を統括している、ニキタという」
「カヌマと申す」
ふむ、その名前聞いたことがある、とニキタさん。
「ああ、心配には及ばん。ここでは客人だ」
その言葉を聞いて、ほっとする同行者さん。やがて、お茶が運ばれ、他愛もない話が始まります。
「ところで、カヌマ殿。我らパルバク王国に攻め入り、退けられたことはご存じかな?」
「もちろん」
そう答える猿王さん。同行者さん、背中に冷たい汗が流れ始めます。
「敗因は何だったと思う? 率直な意見を聞きたい」
そう言って、優雅にお茶を飲むニキタさん。
「今回の侵攻、急な話だったのではないか?」
「ほう?」
顔色一つ変えず答える猿王さん。ニキタさん、軽い驚きを覚えます。
「どうしてだ?」
「補給路の隠蔽が十分でなかった」
「・・・」
猿王さんの答えに、暫く沈黙が流れます・・・。
「ハハハ・・・!」
突然笑い出すニキタさん、同行者さん、汗が噴き出て止まりません。
「なるほど! さすが・・・」
ユミルに留めておくのは惜しい、と呟きます。その言葉を聞いた同行者さん、もう気を失う寸前です。
「カヌマ殿、一つ勝負をしないか?」
そう言って持ってこさせたのは、双六の盤木。
「そちらが勝てば、この国を出るまで身の安全を保障する。しかし・・・」
負ければ、暫くこの地に留まって助言を貰えぬか? そう言って、優雅にお茶を飲むニキタさん。
「いいだろう」
事もなげに返事をする猿王さん、その言葉を合図に勝負が始まりました。
そして、二人の双六勝負、一進一退の攻防が続きます。しかし、ニキタさん有利でいよいよ最終局面。先にコマを自陣に入れれば、勝利が決まります。
「では、参る。これで勝負がついても悪く思うな」
そう言って賽を振るニキタさん、しかし、出目が振るわず自陣まであと一マス残します。
「むう!」
悔しそうに唸りますが、まだ盤面はニキタさん有利。
「では参る」
そう言って賽を振る猿王さん、続けざまにゾロ目を連発。後方から怒涛の追い上げで、ニキタさんに賽を振らせません。
「な、何・・・」
呆気にとられるニキタさん。再び猿王さんが振った賽、六のゾロ目でした・・・。




