呪い
それから半時程たって、フェイさんが薬師の方を運んで空から現れます・・・。
「こんにちは、スグルと申します。よろしく」
「ラシルです・・・」
鼻眼鏡の中年の女性、降り立って挨拶を交わします。
「早速ですが、診断させて下さい。今まで、気を失ったことはあるかしら?」
「はい、何度か・・・」
スグルさん、そう尋ねながら私の手首を軽く押さえます。
「あの、鳥族の薬を飲ませたのですが」
フェイさん、慌てて横から付け加えます。最後の手段と言って、気を失っている私に飲ませたとか。
(え? 薬を飲んだから気絶したのではなくて?)
「あら、そう?」
スグルさん、そう言って私の目を覗き込みます。
その後、何か所か触診をして、私に体の状態を尋ねた後、安心したようにおっしゃいます。
「落ち着くまで安静にした方がいいですが、それ以外は問題ありません」
「そうですか、わざわざありがとうございます」
私は、スグルさんにお礼を言います。
「なかなか目を覚まさないので、もうびっくりして」
フェイさん、薬師の方を呼びに行くため、置き去りにしたことを詫びます。
「皆が、お呪いをしておくからって言っていたのですが」
落ち着かない様子のフェイさん。すると、そちらを見たスグルさんが突然、
「あら、この文様間違っているわよ」
「え?」
「ほら、ここ・・・」
「・・・」
強張った顔で、文様を見つめるフェイさん。
「待っている間、変な事起きませんでしたか?」
スグルさんの問いに、指輪の中の赤龍を制し大丈夫でした、と答えます。
(誰が味方か、はっきりするまで待って!)
「この文様の意味、わかるのですか?」
「ええ、元々は外敵から身を守るためですが」
スグルさん、このお呪いをお祖母さんから習ったそうです。
「大切な人が守ってくれるよう願う場合は、名前を書いて土に埋め、この文様を描くのです」
子供の遊びのようなものです、とフェイさんが口を挟みます。
「あら、鳥族にはそう伝わっているのね。でも、それだけじゃないの」
スグルさん、大真面目で言葉を継ぎます。
「この文様、元々魔神を封じるために使われたの」
「え?」
大昔の話よ、そう言って悪戯っぽく笑うスグルさんでした。
「あの、その呪いの事、もう少し詳しく教えて頂けませんか?」
訓練校の文様が頭に浮かび、気になります。
「ええ、いいわよ。よろしければ、これから私のお家にいらっしゃらない?」
フェイさんに聞くと、他の鳥族の方、もう先に飛び立ってしまったとのこと。それなら、ゆっくり話が聞けそうです。私は、お願いします、と頷きました。




