夢
一方こちら、冷たい風に目を覚ました私です。
「お気づきになられましたか?」
声を掛けてきたのは、鳥族神殿の巫女。
「これから、運命を委ねる儀式を執り行います」
(運命? 儀式・・・?)
頭がぼんやりしています。ここは神殿? そう思った途端、いきなり指輪からあの鳥が現れました。
(えっと、ラホンさん・・?)
ゆっくり羽ばたきながら飛んだかと思うと、私も何故かふわり飛んでいる感覚に・・・。
暫く飛んだ後、降ろされたのは固い岩の上。ふと見るとラホンさん、人の姿の転じ手招きをしています。
いつの間にか、冷たい風は止み、天空から目に見えない何か、静かに降りてきます。辺りに漂う静けさ。
ふと、自分とラホンさんとの間に隔たりを感じます。これは、溝? 幅は広くないのに、底知れぬ深さがありそうです。
ラホンさん、こちらを見て再び微笑みます。ふと溝の奥、潜むものを感じます。これは悲しみ? それともやるせなさ?
私、渡らなきゃ! 何故かそう思い、足を一歩踏み出そうとします。でも怖い・・・。
(あの子達もいるから大丈夫よね)
気を取り直し、一歩踏み出しました。すると、そこにあるはずの地面はなく、私は態勢を崩し下へと落ちていきます!
(え? ちょっと~!)
一瞬上を見上げると、ラホンさん、私を見つめています。
(キャー!)
もうダメ・・・と思った瞬間、急に、ぐん、と何かに受け止められます。
「姐さん! 大丈夫?」
「赤龍? 」
見渡すと、そこは崖の中腹。下は海です。赤龍、私を乗せゆっくり上がります。
「急に起きたと思ったら、崖から空中へ歩きだしてさ。びっくりしたよ! 間に合ってよかった」
(あれは、夢? 何か頭がぐらぐらしている・・・)
「姐さん、山を廻ってあの鳥が来た後、何か飲まされて倒れたのを覚えてない? 神殿で暫く寝かされてさ」
「え?」
「山の上は、結界が邪魔で指輪から出られなくて。でも、ここなら大丈夫だった」
皆で、私を運んできてくれたそうです。
「あの、フェイとか言う鳥族のお姉ちゃん、用事があるって言って山からどこか飛んで行ったよ」
(ということは、何かを飲まされるまでが現実、その後が夢・・・?)
「姐さんが寝かされていたのは、ほら、あそこ!」
そちらを見ると、かなり崖の傍、石が幾何学模様のように並んでいます。
「青龍は?」
「兄貴は、猿の大将に知らせに行った。油断するなって」
「そう・・・」
私は、モヤモヤした思いを抱え、ぼんやりと夢を思い返すのでした・・・。




