求愛
私は、別室に戻ると面を外し、着替えます。いつの間にか汗をびっしょりかいていました。
「あなた、上手だったわ!」
皆の所に戻ると、開口一番年老いた鳥族の方がおっしゃいます。
「素晴らしかったわ。舞をやっていたの?」
「ええ、少しですが・・・」
皆、口々に喜びます。今年は新年から良いものを見ることが出来たと。
「それでは、皆様参りましょう」
祭祀を行っていた方、着替えると皆を外に促します。
「ラシル殿、お疲れ様です。これから、聖山を歩いて周回します」
皆について、再び歩き始めます。山の中腹から聖山の周りを三周したでしょうか? 午後遅くに、ようやく巡礼が終了しました。
(私、ここに舞いを奉納しに来たのかしら?)
自分と深く繋がることができ、充実感を覚えてその神殿を後にしようとした時でした。
「おお、ラホン様!」
誰かが、空を見上げ感嘆の声! 私も、その方向を見ると、
「老朽船に宿った鳥だわ」
バサバサと羽音をたて、片足で舞い降ります。そして私を見て一声甲高く鳴いたかと思うと、私の周りで奇妙な動きをしながら羽を広げます。
思わず、それを避ける私。
「ラシル殿、それ求愛の踊りです」
「え?」
フェイさん、事もなげにおっしゃいますが・・・。
「あの、もう砂金はないのよ」
私、踊り続ける鳥に向かって話しかけます。もしかして、餌付けと勘違いしたのかしら?
ひとしきり踊って満足したのでしょうか? その鳥は、私の指輪にするりと入っていきました。
「え? ちょっと待って!」
「うらやましいわ、私がもう少し若かったら」
「アハハハ!」
年老いた鳥族の方、悔しそうにおっしゃると同時に皆さん笑います。
いや、違うでしょ!誰か助けて~!
「ラシル殿、とおっしゃいましたか?」
「はい!」
ああ、祭祀行った方、助けて下さい!
「もし婚姻の儀、ラホン様と行うならば我らをお呼び下さい。喜んで、人族と鳥族を結ぶ架け橋となりましょう・・・」
あの、どうして? 鳥なのよ! おかしいでしょ! ユミルもザムも違う種族同士が婚姻することに忌避はないの?
「もし鳥族と人族の婚姻が実現すれば、数百年ぶりの慶事となります」
「我ら一同、歴史的瞬間に立ち会っておりますな!」
「ワハハハ!」
これは目出度い! と皆、口々に笑っていました。
おかしい! 皆、絶対おかしい!
(ちょっと、青龍、赤龍、いるでしょ? 何とかその鳥を追い出して!)
こっそり呼びかけても、二匹の龍、反応が全くありません。どうしよう・・・。




