鳥族飛行
時刻は夕方でしょうか? フェイさんに連れてこられたのは郊外の小高い丘。空を見上げると、鳥族に抱えられた人が、次々と上空を飛んでいます。
「ここは何ですか?」
「鳥族専用の、発着所です」
何でも、人を運ぶ場合、飛べる区間が決まっているとか。
「あ・・・」
私、龍に乗って鳥族の聖地まで飛ぶつもりでした。でも、見つかったら大騒ぎになることをすっかり忘れていました。
「我が儘を言ってごめんなさい・・・」
お婆様が怒るはずも無理はありません。
「いえ、私も聖地を訪れたかったので、良い機会です」
フェイさん、優しいですね。
順番を待つ間、防寒服を着こみ、飛行用のロープでしっかりフェイさんに固定されます。
「聖地シラまで」
フェイさん、係の人にそう告げると書類を見せます。係の人は、ロープの結び目を確認した後、こちらへ、と誘導します。そこには、私達を含め、聖地に向かう九組の鳥族達。
「良い旅を!」
係の人が告げると同時に、次々と鳥族の人達、飛び立ちます。フェイさん、大きな翼を広げ、私を抱えると最後尾で飛び立って行きました・・・。
(ひゃ~!)
九組の鳥族、弓型の隊列で優雅に羽ばたきながら上空を進みます。眼下には、下界が小さく広がります。龍に乗った時もそうですが、高い所はなかなか慣れません。
飛び立ってから結構時間が経ち、辺りはすっかり暗くなります。下界はいつしか陸から海へと変わっていきました。やがて、前方に島影らしきものが見えます。
「あの島へ降ります」
フェイさんがそう言うと、先頭を行く鳥族の方、島に向かってゆっくり高度を落としていくのでした・・・。
・・・・・・・・・
私達が降り立った場所は、小さな島の中ほどにある山の中腹。ここで、羽を休めながら次の風を待つそうです。
「ロープはこのままですよ」
「え・・・?」
あの、手洗いとかは? おずおずと尋ねると、フェイさん、
「飛んでいる間に済ませて下さい・・・」
「え? まさか・・・」
冗談です! そう言って、笑顔になりロープをほどいてくれます。
びっくりしました! 一瞬、本気にしちゃいました!
私達は、皆でお茶を飲みながら談笑します。全員、聖地参りに向かうのだとか・・・。
「アンタ、鳥族でもないのに奇特なことだね・・・!」
お年を召した方にそう言われます。
そうですね、一体何が私を待っているのかしら・・?
やがて、私達、再び聖地に向けて次々と山の中腹から飛び立って行くのでした・・・。




