祝賀行進
翌朝、部屋に昨日紹介された鳥族の女性の方が迎えに来ます。
「私の事は、フェイとお呼び下さい」
「ラシルです、よろしく。それから、赤龍と青龍がいます・・・」
あの子達、指輪の中で眠っているようです。
「ラシル殿、今日は、街で祝賀行進があります。見に行かれますか?」
「ええ、お願いします。でも、目立たないように、遠くから見られれば十分です」
フェイさん、少し考えてから、承知しましたと答えます。
「鳥族の聖地へは、夕方この街の外れから飛び、途中休憩を挟み、翌朝には山の麓に着きます」
高度慣れのため、麓から登ってくださいと言われ、了解します。
その日の午後、私はフェイさんに連れられ、人々が行き交う中、祝賀行進を見に行きます。
連れて行かれたのは、大通りが一望できる櫓を組んだ観覧席の最上段。天蓋があり、床に分厚い毛氈が敷かれ、席に着けばすぐ、暖かい飲み物と甘いお菓子が出てきます。
「あの、この場所って目立ちませんか・・・?」
私が尋ねると、そんな事ありません、というフェイさん、
「御簾を下ろせば大丈夫です!」
「・・・」
確かに、外からは見えないわね・・・。
やがて、高らかな笛の音、賑やかな鉦や太鼓が鳴り響き、奇怪な面を被った人々を先頭に祝賀行進が始まります。様々な衣装を着た人々、笑顔で行進をしていきます。
「あれは何ですか?」
「遠方からやってきた、友好国の人たちです」
遠く離れた北の地方や、南から船でやってくる人もいるとか。ザムは、意外と他国とも交わりが深いようです。
やがて、人々の行列が通り過ぎると、突然ドーンと轟音が鳴り響きます。
「今の音は、何でしょう?」
「・・・軍隊行進の合図です」
暫くすると、巨大な生き物を操る兵隊さんが先頭に現れます。それに続くは、武器を手にした兵隊さん、街道を埋め尽くし行進していきます。その数、一体何千人でしょうか・・・。
やがて、巨大な輿を曳く何頭もの馬、それに乗るのは、胸を張り着飾った方。
「あれは、軍のお偉いさんですね・・・」
フェイさん、こくり、頷きます。
やがて、鳥族の方でしょうか。大筒を背中に翼を持つ兵隊さんの集団も行進していきます。
「あれは・・・?」
私の問いに、あれは鳥族ではありません、と苦々し気に答えるフェイさん。これ以上聞かない方が良さそうです・・・。
私達、まだ行進が続き観客の盛り上がりが続く中、その場を引き上げいよいよ鳥族の聖地へと向かいます・・・。




