嵐
翌朝、激しい船の揺れで目を覚ましました。外は、暗く厚い雲が低く広がり、手を伸ばせば届きそう。遠くに白波も立ち危険な状態ですが、船長さんはどこ吹く風。
老朽船は、波に向かって進みます。やがて、激しい雨が降り、視界も悪くなります。
ザッバ~ン!
突然大波を食らい、ズルリと船が流されます。船長さん、舵を切り、船首を立てようとするも、横波を受け大きく傾く船体・・・。
「ひぃ!」
船室に逃げ込んでも、思わず叫び声が漏れます。ゴーゴーと雨風が吹き荒れ、波が荒れ狂うなか、メキメキと老朽船が悲鳴を上げます。
「大丈夫です、あの船長、口は悪いが腕はいいのです!」
若旦那さん、私を励ましてくれますが、青い顔。
次の瞬間、船が立ったのかと思うぐらい後ろに傾き、部屋の壁にぶつかります。痛い!と言った、次の瞬間僅かに浮いたと思ったら、今度は前へ大きく傾きます。
私は、転がらないよう寝床の支柱にしっかりしがみつきます。
ドッド~ン!
ミシミシミシミシ~!
大波に叩きつけられた船の断末魔! ふ、船が壊れる?
「船長~!」
水夫さん、悲鳴のような叫び声で船長さんに何か伝えています。
「野郎ども、もうひと踏ん張りだ。島影が見えた!」
希望と不安が交錯します。どうか、無事、この船が島までたどり着けますように。海の神様、お願い・・・!
やがて、少しずつ激しい揺れが収まってきた気がします。雨風も少し弱まったかしら? 時折、思い出したように大きい揺れがきますが、もう柱にしがみつかなくても大丈夫・・・。
半時後、私達を乗せた船、無事、島の湾内へと入っていきました。
先程の雨風、まるで嘘のように静まり返った湾内の波止場です。
老朽船、同じように避難してきた船が並ぶ中、急いで修理を行うようです。
「出航予定は、正午きっかり。それまでに帰ってこなかったら、置いていくぞ!」
船長さんに脅かされた私達、それでも陸に上がります。
「いや、生き返った気分です!」
若旦那さん、青い顔が少し落ち着いたようです。お婆様、御供の方も、顔色が良くありません・・・。
「アンタ、船酔いはしなかったのかい?」
「ええ、そういえば・・・」
転がって、頭をぶつけた以外は特に何も、と答える私に、
「ふん、青龍の加護だろうよ!」
「・・・?」
(青龍、そうなの?)
私の問いに、青龍、頷きます。道理で酔わないはずだわ。
ふと見上げると、空に薄日が差してきました。これなら、午後の航海、大丈夫そうね。




