検問
川船に乗って二日目、ザムを旅している間中、龍達は眠っています。私も目立たぬようにしよう、そんな思いをよそに、今日も気さくに話しかけてくる若旦那さんです。
商品は何を扱っていますか? と聞かれ、軟膏と洗い粉です、と答えると商品を見せて欲しと頼まれます・・・。
「この洗い粉、どちらで仕入れたのですか?」
「アルシュです」
若旦那さん、洗い粉をじっと眺めます・・・。
「商売の免許札は、どちらの発行ですか?」
「ユミルの神殿道場です」
「・・・なるほど。ユミル神殿の力を利用したのですね。あなた、以外と目の付け所がいい」
若旦那さん、これはアルシュ国内でしか出回らない品です、といい感心して私を見ます。でも、私、ルドラさんの言われるままだったので、そんなこと気にもしていませんでした・・・。
「これ、いくらで売るのですか?」
「はい、一つ銀貨三枚です」
(高い、と言われるかしら・・・)
「都ラーヴィで、新年詣での客に売るなら、銀貨五枚でもいいくらいです」
「はい?」
若旦那さん、次に来るときは、是非うちの商店で扱わせて欲しい、と驚くようなお話です。この商品そんなにすごかったの・・・?
そんなやり取りをしている間に川船は、フェルという河船港につきます。ここで船を乗り換え、海路で二日進めば都ラーヴィに到着します。
「御親切にありがとうございました」
若旦那さんに、お礼を言って船を降りたところで、いきなり兵隊さんに周りを囲まれます。
「お前、どこから来た?」
「・・・ユミルの神殿道場です」
報告のあった通り猿と一緒だ、と兵隊さんの一人が呟きます・・・。
「ちょっと、来てもらおう!」
「え? どういうこと・・・」
ユミルの間者かもしれない、と報告が上がっている。そう言って私の腕を取り、引っ張っていきます。猿王さんも取り囲まれてしまいました。
「おい、待て!」
若旦那さん、様子を心配して護衛の方と船を降りてこられます。兵隊さんの中に割って入ると、
「その人は、私の連れだ。これから都ラーヴィまで、私の船に乗る!」
(はい・・・?)
「何、 あんたも仲間か?」
兵隊さん、若旦那さんを捕まえようとすると、護衛さん、すかさず間を割って入ります。
周囲が、ざわり、とした雰囲気になります。
(姐さん、手伝いますか?)
青龍が、密かに囁きます。
(いえ、待って。もう少し様子を見るわ)
ザムと戦った龍が出たら、お尋ね者どころの話じゃなくなります・・・。




