新学期
こちら、トゥルクの訓練校、新学期が始まります。
ミサトちゃんとタマキちゃんが仲良く登校していると、後からマリーちゃんが駆け寄ってきます。
「ミサトちゃん、タマキちゃん、あのね、大変なの!」
「マリーちゃん、おはよう!」
「何が大変なの?」
早速、マリーちゃん、二人の耳元で囁きます。
「え~、本当?」
「うん、本当なの、私見たの!」
二人が信じてくれないので、マリーちゃん少し機嫌を損ねます。
タマキちゃん、今朝マリーちゃんから言われたことが気になります。そこで授業の合間、職員控室に行き龍巫女先生の姿を探します。でも、何処にも見当たりません。そこへ、元護衛隊長さん、通りかかります。
「ああ、タマキ君、何か用かい?」
「うん、龍巫女先生探しているの」
「ああ、何か病気療養中とか言っていたな。商店の事で質問か?」
「・・・」
タマキちゃん、首を横に振って駆け出すと、教室に飛び込みます。
「ミサト姉様、やっぱり龍巫女先生、龍になって天界の湖に行ったまま帰ってこないの?」
「バカ、そんな事ある訳ないでしょ!」
「ぶ~」
タマキちゃん、ミサトちゃんに怒られました。でも、教室はざわついています。え、龍巫女先生? 違うでしょ、お尋ね者? しー! 言っちゃダメよ。 噂は、既に駆け巡っています。
一方、こちらアルシュ藩王ルドラさん、都フラーナの宮殿に国王陛下からの呼び出し、今回は別室で協議中です。
「以前、話したい事がある、と言っただろ」
「ええ、そう言えば・・・」
「お前、国王を継がんか?」
「何をいきなり、アルシュを潰すおつもりですか?」
どうしてそうなる? ご立腹の国王陛下。
「私が国王になったら、重臣たちは黙っていないでしょう?」
「そこは、お前の腕の見せ所だろ!」
「あら、そんなこと言って、嫌な仕事を押し付けるおつもりですか?」
「いつまで年寄りをこき使う気だ?」
二人にしては、珍しく話が弾みます。そこでルドラさん、以前から温めていた考えを、陛下に囁きます。
「それは、本当か?」
「もちろん、いくつか障害を越えられれば、の話です」
陛下、疑わし気な目でルドラさんを見ます。
「既に、調査隊を派遣中です」
怪しそうにルドラさんを見る陛下、嘘が混じっているなと思いつつ話を続けます。
「どれくらいかかる?」
「恐らく来年、ユミル建国五百年迄には間に合わせます」
ふん、と鼻で笑う陛下・・・。
「あと、パルバクから賠償請求が来たぞ」
「あら、思ったより少ないですね。井戸を掘ったかいがあったのかしら?」
「とはいえ、頭の痛い支出だ」
仕方ありません、少し待ってもらって下さい。陛下にあっさり答えるルドラさんでした。




