最初の出会い
「そろそろ行きますか?」
「ええ、そうですね・・・」
猿王さんの言葉に現実戻される私です。荷物を担ぎ上げ、再び歩き始めました。
今度は、見渡す限り、浸食の跡が削られた奇怪な景観が続く荒涼の地です。その中を歩き続けること五日目、ようやく最初の出会いがありました・・・。
「こんにちは!」
「・・・」
初めて人と出会い、挨拶をします。先方は男の人と女の子でしょうか? こちらを警戒しているのか、挨拶は返してくれませ。でも、都ラーヴィを目指していると私が話をすると、どうやら目的地は同じようでした。
夕方、私達が野営の準備を始めると、その人たちは少し離れた所に居を構えます。と言っても敷布を置きごろりと横になるだけ。私達が食事の用意をしていると、女の子はこちらをじっと見ています。
「よかったら食べない?」
私は、女の子に声を掛けます。でも女の子は、男の人を気にしています。
すると、僅かに顎を動かし、行ってこい、と身振りで女の子に伝えます。おずおずと、でも嬉しそうに、こちらにやってきました・・・。
「はい、どうぞ!」
携帯食と暖かいお茶を渡します。それから、これはあの人の分ね、と言ってもう一人分を渡します。女の子は、一瞬戸惑った様子を見せますが、横になっている男の人へ持っていきます。
するとこちらを向いて、こりゃどうも、と男の人も会釈をします。
「お姉さんたち、何処から来たの?」
私達は、ユミルの神殿道場から来たのよ、と答えながらふと女の子の手を見ます。可哀そうにガサガサです。
「ねえ、これ肌荒れにいいのよ、匂いがきついけど使ってみて」
と言って持って来た軟膏を渡します。女の子は、匂いを嗅いで、うっ、と声を漏らします。
でも、ありがとう、とためらいがちに言い、軟膏を懐に入れると、暫く話をしてくれました。
女の子は、ずっと離れた北寄りの村から、男の人の世話で奉公先へ旅をしているとのこと。年は7歳だそうです。私は話をしながら、やりきれない思いに胸が詰まります。
でも、この子には、頼りとする家族の期待に応えるべく奉公に出ているのです・・・。
翌朝、男の人は、ラーヴィに行くなら、街道沿いの湊で川船にのり、フェルで都行きの船に乗り換えれば四日の船旅で着く。そうすれば新年をラーヴィで迎えられると助言をくれます。
女の子は、はにかみながら、お姉さんありがとう、といって二人はその場を去っていきました・・・。




