表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命を継ぐ者(ラシル)の旅-逃亡編  作者: みのりっち
15/74

最初の出会い

「そろそろ行きますか?」

「ええ、そうですね・・・」


猿王さんの言葉に現実戻される私です。荷物を担ぎ上げ、再び歩き始めました。


今度は、見渡す限り、浸食の跡が削られた奇怪な景観が続く荒涼の地です。その中を歩き続けること五日目、ようやく最初の出会いがありました・・・。


「こんにちは!」

「・・・」


初めて人と出会い、挨拶をします。先方は男の人と女の子でしょうか? こちらを警戒しているのか、挨拶は返してくれませ。でも、都ラーヴィを目指していると私が話をすると、どうやら目的地は同じようでした。


夕方、私達が野営の準備を始めると、その人たちは少し離れた所に居を構えます。と言っても敷布を置きごろりと横になるだけ。私達が食事の用意をしていると、女の子はこちらをじっと見ています。


「よかったら食べない?」

私は、女の子に声を掛けます。でも女の子は、男の人を気にしています。


すると、僅かに(あご)を動かし、行ってこい、と身振りで女の子に伝えます。おずおずと、でも嬉しそうに、こちらにやってきました・・・。


「はい、どうぞ!」


携帯食と暖かいお茶を渡します。それから、これはあの人の分ね、と言ってもう一人分を渡します。女の子は、一瞬戸惑った様子を見せますが、横になっている男の人へ持っていきます。


するとこちらを向いて、こりゃどうも、と男の人も会釈をします。


「お姉さんたち、何処から来たの?」

私達は、ユミルの神殿道場から来たのよ、と答えながらふと女の子の手を見ます。可哀そうにガサガサです。


「ねえ、これ肌荒れにいいのよ、匂いがきついけど使ってみて」

と言って持って来た軟膏を渡します。女の子は、匂いを嗅いで、うっ、と声を漏らします。


でも、ありがとう、とためらいがちに言い、軟膏を懐に入れると、(しばら)く話をしてくれました。


女の子は、ずっと離れた北寄りの村から、男の人の世話で奉公先へ旅をしているとのこと。年は7歳だそうです。私は話をしながら、やりきれない思いに胸が詰まります。


でも、この子には、頼りとする家族の期待に応えるべく奉公に出ているのです・・・。


翌朝、男の人は、ラーヴィに行くなら、街道沿いの湊で川船にのり、フェルで都行きの船に乗り換えれば四日の船旅で着く。そうすれば新年をラーヴィで迎えられると助言をくれます。


女の子は、はにかみながら、お姉さんありがとう、といって二人はその場を去っていきました・・・。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ