分岐点2
こちら、アルシュ藩王ルドラさんの屋敷、トゥルク訓練校のリムさんと来春の入学予定面接の結果を聞いています・・・。
「あら、応募者110名の内半数以上が猿族と鳥族なの・・・」
「はい、それで合格者は80名、その中に猿族20名、鳥族20名を含みます・・・」
リムさん、猿族と鳥族を入学させていいか、ルドラさんに確認します。
「いいわよ、 入学させなさい! 運営側の腕の見せ所よ、リム・・・」
「・・・!」
リムさん、頭を抱えます・・・。
「ところで、王都から訓練校へ捜索はあったの?」
「いえ、王都からはまだありません。ただ、トゥルクの役所から龍巫女さんの居場所確認はありました。病気療養中で不在、と伝えるとそれ以上は何もなく・・・」
ルドラさん、思案顔です・・・。
「宮殿の様子で、何か変わった点はあったの?」
「はい、宰相様が、昨年秋の花嫁一行襲撃とザムの侵攻を予めご存じだったのでは? と大臣殿が胸の内を漏らしていたそうです・・・」
(ザムの侵攻は、猿王の警告があったから別として、花嫁一行の襲撃を予期するのは難しいわね。唯一考えられるとすれば、関係者の関与・・・)
ルドラさん、自分の甥とユミルの宰相殿の接点が思いつきません。しかし、何故か昨年夏、ザムで開催された武術大会を思い出します。
(伏線は、どうやらあの頃からあったようね・・・)
・・・・・・・・・
一方、こちらザムの国境を越えた陽気な商人、国境沿いの尾根に入る手前で荷車を止めます。
「姐さん、もう大丈夫!」
商人に扮した赤い騎士、酒樽の蓋を開け、半分に仕切られた空洞から私を引っ張り上げます。そして、別の酒樽の蓋を開けると、中から猿王が出てきます・・・。
「ああ、ちょっと待って、酒の匂いで酔っ払ったわ・・・」
「姐さん、安上がりでいいね!」
「・・・」
国境の門を超えるときは、生きた心地がしなかったわ。でも無事に抜けられてよかった・・・。
半時程休憩してから、険しい尾根伝いの道を一行が進みます。集落を抜け、深い谷沿いの道を進みます。反対側の斜面には、家畜が草を食んでいます。どこかで見たことのある風景・・・。
そして五日目、ようやく神殿の修行道場の門に到着します。
「お待ち申しておりました・・・」
国境を遮る厳重な門が開かれ、神殿の修行道場が姿を現します。二人の巫女が出迎えてくれました。仰ぎ見れば、山向こうには雪に覆われた白く輝く山、ここに来るのは二回目です・・・。




