追い詰められると視野が狭くなります
疲れました。
珈琲でも飲みます。
突然だけど、私ってドッキリ系が苦手なんですよ。
特に、心臓に悪いドッキリは質が悪いですね。ドッキリは大抵心臓に悪い?ははぁ、それもそうかもしれません。
私はドッキリを仕掛けられた場合、表情筋が硬いせいか、ビックリしすぎてリアクションが取れなくなってしまうんです。
ドッキリを仕掛けた側もこういう反応をされると互いに気まずい反応になってしまうというか、なんか御免みたいな感じになってしまうんですよ。
それが前の世界では笑い話で済んだことなのですが……この世界だと真面目に命にかかわりそうだから質が悪いなんてレベルではないわけです。
今の私の状況は、いきなり背後から耳元で囁かれ、それの影響で心臓がはち切れんばかりに高鳴ってしまっている状態であり、無論、表情はほぼほぼ無を体現していることでしょう。
しかも、このドッキリは気心の知れた知人とのやり取りではなく、たった一度顔を合わせただけの薄っぺらい関係の人かどうかもイマイチ把握しきれていない存在からの接触です。
確かに声には覚えがありますよ?
先ほど村で私のことを家まで案内してくれた少女の声です。
それは理解できます。そのくらいは私でも理解することが出来ます。
でも、それを含めた様々な過程が、この少女を前の世界での馴染み深い無垢な少女と同じような認識のままに相対してはいけないような、そんな、漠然とした不安が私をどうしようもなく緊張させるのです。
今も、こうやってどこぞの誰かも分からないあなたにこうやって敬語でアプローチをかけているのですから、脳内は相当なパニックを起こしていることでしょう。
パニックのみならず、ショートしているかもしれませんね。
助けてください。
いやでもしかしあれですよ。
助けを望んだとしてもそれが途方もないくらいに天文学的な確率で、例えるのならば、そう、砂漠という無数の砂粒に染められた広大な大地の中から、一粒の砂金を見つけ出すくらいの淡い希望であることには私は気づいています。
気づいているのです。
私は、私が、何とかしなければ自体は一切好転しないことくらい。
視界が軽く歪んでいるようにも思いますが、そんな些細なことに注意を向けている意味などあるのでしょうか?
今すべきことはこの状況を脱するために頭を働かせることです。
私が悠然と構えるくらいの気丈さを見せなければ、美子にも心配をかけてしまうことでしょう。
私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が、私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私がわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしが、
【なんとかしないと】
「……なんだ、案外早かったと言わざる得ないかな?」
「まぁ無理もない」
「君の身体であり君の思考さ。好きに狂い、好きにするといい。君は一人で独りだ。その現実からどのくらい目を逸らせ続けるのか見物ではあったけど、どうも器が脆く儚すぎたみたいだ」
「君が壊れたら玩具が無くなっちゃうよ?どうしよう?」
「新しい玩具を用意してもいいんだけど、君という前例が存在してしまっているんだ。二の舞にならないという確証はない」
「この余りある無限にも等しい時の流れの中、新しいルートを引き当てる玩具を待ち続けるのも一つの選択肢としては存在するよ?でも、私は飽き性でね」
「出来ることなら最初の一発で最良の結果を得たいと望んでしまうんだ。楽に結果を出すことが出来れば、それに越したことはないよね?その辺、現代の若者っぽいだろ?私だってまだまだ現役なんだよ」
「君がこのままどうなるかはさっき言った通り、好きにするといい。選ぶのは君で、私は一傍観者としてその結論を甘んじて受け入れよう」
「その結果がどのようなものであれ、次の玩具は……暫くはいいかなぁ……忘れた頃にまたやると思うよ」
「ぶっちゃけて言ってしまえば、君の代わりなんて腐るほどあるのさ。……だから、君が嫌になったら、そこを終着点にしても良いんだよ?」
〇
「全く、それでもなお救えとは、主の言葉も大概は試練と言う名で着飾った無茶振りと大差ないではないか。やはり、神々など大して全能などではないな。思考すべき器官を下半身に持つ愚者すら存在する始末だ」
「試練を課すなどと荘厳ぶって理不尽を擦り付けるのが主なりの暇潰しなのだろうが、そも、生きること、それそのものが試練ではないのか」
「本当の意味での幸福など、試練からの解放を意味する死そのものではないか」
「生きることは試練だ。生きることこそが試練なのだ。しかし、それにのみ傾倒していては、生に執着する奴隷と大差ない。……天上の崇め奉るべき対象が性に執着する奴隷である事実がある以上、この言葉の正当性の悉くが論理性に欠けるものになってしまうかもしれんが……」
「全く、戯れで世界を弄りまわすのは止めてほしいところだ。気まぐれにもほどがある」
「だが、気まぐれなのは私も変わらん」
「主は仰った。私の言葉は主の言葉だ」
「主は気まぐれだ。故に、私も気まぐれだ」
「救いあれ、救いあれ、救いあれ」
「あの光の先にあるリンゴの木が枯れ、生命を終わらせる瞬間に水面は揺れ、世界は煌々の瞬間に果てを拝むことになるであろう」
「錆びた斧から放たれた斬撃はその首筋を捉えて離さず、その亀裂から零れる群青色の雫が退廃し、穢れ、荒みきった世を根底から洗浄する」
「想起するのだ。煉瓦で彩色を施された鬼面を、黒一色で染められた聖人の微笑を、黄土色に暮れる空から落ちる鳥は理解を諦めた」
「刺激は生を実感させる最高のスパイスと成り得る」
「そんな刺激を追い求め行きついた先は、四肢が豚の足となり、四足歩行で残飯漁るかつて少女だったもの、露天商に己の肝臓を売り出そうとする、注射器を頭に刺したまま嗤う青年、高層の建物の屋上で翔けることを夢想した片足と片腕が人ならざる彼女、己の正義感を絶対とし、その基準に沿わなければ誰であろうと正義執行を行う老人の皮を被った処刑人、材料が足りないからという理由で道行く誰かの首を掻き切る頭部が異様に凹んだ老婆」
「美しきかな閉鎖された世界よ。吐き気を催す笑顔と歓声に包まれた世界よ」
「鈍い音で振り込まれたトマトの酸味は爽快だったか?か細い祈りの声は近すぎる天に拒まれ、されど伸ばす腕は空を切る。最後の景色は割かれた内部の燃えるような赤であり、解き放たれるような晴れやかな気分と仄かな温もりをくれる柔らかさ、言葉を介さず、鋭利に研ぎ澄まされた切れ味はどす黒い噴水によって誇張され、遠い霞を触れる腕は地面に着いていた」
「逃げることは出来ない。運命は初めから決まっており、そこから目を背ける行為は意味を為さず、終焉はいつも間近にある」
「さぁ、氷像には穴が空いた。その心臓に届くのも時間の問題だ。這い寄る鼠の頭部を踏みつぶせ。満たした盃を地面に叩きつけろ。もっと丈夫なものでなくてはダメだ。一枚の紙片に隙間なく刻み込まれたあの単語を食い千切り、脳裏に刻み込め。頭蓋骨に刺されたペンのインクは風化のタイミングを窺っている。飲まれるくらいならば飲め」
「影の行列は一片の乱しも許さず眼前に参列した。言動は一致しようと思想は相対性を維持しつつ、それでもなお個性を押し殺した。妥協は許さん。世界が花吹雪に包まれようと、壮大な閉鎖世界に迷い込んだとしても、秩序から逸脱した常識を疑う余地が生まれそうな規格外と相対しようとも、その時々に支障をきたすことは無いことをここに保障しよう」
「長い準備は終わった。やっと、やっとだ……我ながら、ここまで本当に望むとはいささか安易に過ぎるか?だが、もうそんなことはどうでもいい」
「あぁ、やっと君を殺せる」
ネットショッピングって便利ですよね。




