【Ⅳ-1】
窓から差し込む太陽の光で目が覚める。
どうやら僕はいつの間にか眠ってしまっていたらしい
支度をして家の前でぼーっと待っているが、10分経っても奏が来ない。
いつもならとっくに着いてる時間に奏がいないということはそういう事なのだろう。
ぼくは渋々、重い腰を上げて学校へ向かう
こんなにも学校に行きたくない気分も久々だけど、早く奏に会って昨日の事を謝りたいと、学校へ向かう足がこんなにも早くなるのも初めてだった。
教室に入り真っ先に自分の席に着いたが、いつも隣に座っている女の子はまだ来ていなかった
結局、その日に奏が学校に来ることは無かった
僕はいつもの帰り道を一人で辿る。ただの風邪だろうか
担任からは体調不良で欠席としか告げられていない
いつも二人で通っていた道を一人きりで帰るのはどうしようもなく寂しく感じた。
次の日もその次の日も奏は学校に来なかった
奏は僕の家を知っているが、僕は奏の家がどこにあるかは知らなかった。
何度か家を訪ねられそうな機会はあったが奏があまり乗り気ではなかったので追求するのはやめておいたんだ。
こんなにも不安で押しつぶされそうになるなら住所くらい聞いておけば良かったと後悔する。
結局、次に奏が来たのは1ヶ月も経ってからだった。
久しぶりの奏との再会に天にも登る気持ちではあったが、最後が喧嘩別れで終わっていた為気恥ずかしくて喋りかけるのが躊躇われた。
奏も同じ気持ちでいるのだろうかなんて、呑気なことを考えていた。
きっと僕は、席に着いてからもどこか翳りのある奏の表情や、僕にとって都合の悪いことに対して鈍感なふりをしていたんだと思う。