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廻る

作者:
掲載日:2017/08/03

切っ掛けは他愛も無い世間話だった


『ねぇ 裏野ランドって知ってる?』


『裏野ランド?知らないなぁ』


『N県の裏野町にあった遊園地なんだけど、今は廃墟になっている場所なんだ』


『へぇ~そんなところに遊園地があったんだ

バブルの名残か何かかな』


『そうらしいよ

結局、資金繰りとか運営とか失敗して入園者数が減って廃墟になった…みたいな?』


『よくある話だね

そこがどうかしたの』


『七不思議があるんだって』


『廃墟の遊園地にか』


『そう、廃墟の遊園地に』


『それって怖いもの見たさに行った人達の見間違いが伝言ゲームよろしく伝わって七不思議になったんじゃなくて』


『実際、見た人がいるらしいよ

夏の肝試しにいってみない?』




8月某日 晴れ 湿気がじっとりと纏わりつく日だった


朝早く車をとばして来たのは廃墟となった遊園地に早朝の時間に着いた

肝試しといいながら朝に七不思議のある遊園地にきた

肝試しの雰囲気はまるでない


件の遊園地は山の手前、最寄りの駅から車で一時間もかかる場所にあった


入口の手前に駐車場があり、車を停められる場所がかろうじてあった

遊園地の入場ゲートは誰かが壊したのであろう場所を肝試しに誘ってきた相方と二人で勝手に通り抜けて入った

おもむろに相方が七不思議の話をし始めた


「この遊園地、入った時と出た時に人数が違うんだって」


「数え間違いだろ」


「んー 迷子だって話もあったらしいけど、その後どうなったかまではわからないけどどうしても数が合わないんだって」


「今日、帰るときもどっちかがいなかったりして」


「いくら何でも二人しかいないのたから分かるでしょう」


そんな話から始まった七不思議巡りはミラーハウスから始まった


「ミラーハウスの七不思議は、『入った時と出た時では、まるで別人かのように人が替わってしまう』んだって」


中に入ると鏡は所々割られたり鏡を丸ごと剥がされたりされていた

さらには、天井が崩れて空が見える場所もある

天井だけではなく足下も割れた鏡の破片や瓦礫、前に誰かが来たらしく空き缶やお菓子の包装紙などが散乱していた

歩く度に鏡の破片をパキリと割れる音をたてながら二人は一応中を見て回り、出口までアッサリと来てしまった


「何か変わった?」


「全然…」


「まさか、七不思議全部こんな感じじゃ…「あり得そうだからそれ以上言わないでぇ」…」


廃墟巡りになる予感しかしなかった


機を取り直して次に行ったのはドリームハウス

いかにも身長制限で乗り物に乗れない子供向けの施設だった

中は小さな小部屋がいくつもあり、部屋毎に色々なシチュエーションに対応した造りになっていた

ある部屋は台所だけ、ベットがあるだけとかまるでお飯事をするためのようだった

どちらかと言うと女の子向けの部屋が多かった


「ここの七不思議は、『拷問部屋がある』と言われているんだって」


「どちらかと言うとメルヘンな部屋が多いのに到って真逆な内容の七不思議だな」


「そうだね」


ここも、一通り部屋を見て回ったがそれらしい場所は無かった

気まずい沈黙が二人を包む


「次行くか」


そう言って相方の手をとり先に進む

相方は少しショボくれてはいたが、次こそはと俺を引っ張る形で歩みを進める


「次は『廻るメリーゴーランド』夜な夜な人も居ないのに勝手に回り出すと言われている」


「まだ、昼間だぞ」

何だかんだと見て回っているうちに昼に近い時間になっていた


「……………………は、早く来すぎた」


「肝試しとか言って早朝に出たからな、全然肝試し感無いからなぁ」


そこで相方が崩れ落ちた

少し可哀想になってきたので一応メリーゴーランドの中に進み見るだけ見て回ることにした

俺は右回りに、相方は左回りに回った

ここも他と同じで壊れたのか、壊されたのか木馬の頭が無かったり木馬自体が支柱ごと折れたりと酷い状態だった

荒れ放題だなぁ~なんて思いながら見て回っていると


「ギャー!」


突然悲鳴が聞こえた

慌てて相方の所へと、来た道を戻り相方の進んだ方へ行くと相方が頭を抱えて蹲っていた


駆け寄り、相方の前にしゃがみ相方の顔を覗き込むと頭から生臭い匂いをさせ顔が頭から赤黒い液体を垂れ流していた


「どこ怪我した!!!」


慌てて頭を覗き込むが傷が見付からず、ただ生臭い液体が頭上からポタポタと相方の頭に流れていた


ん、頭上から?


先程の焦りが急に醒め、冷静になった

見上げるとメリーゴーランドの天井から生臭い液体がポタポタと相方の上に落ちてきていた

上げていた顔を下げ、無性に相方の頭に手刀を入れたくなった

まだ、アワアワと慌てている相方を立たせ両手で頭を掴み無理やり上を向かせた


「い゛っ 痛いっっっ」

「う る さ い よく見ろ ただの腐った水が落ちて来ただけだろうがっ 慌てるな 落ち着け ! 」


若干涙目の相方

心配したのにこの落ちはちょっと切ないが、どこかの安いコントよりも間抜けな相方の姿に少々手荒になってしまう


「な なな な な ふ し ぎ で は?」


手刀を入れてみた

俺は悪くないと思いながら


相方はメリーゴーランドで天井に溜まっていた雨水のせいで汚れたというのにまだ『七不思議制覇してないのに!』と愚痴っていたが、酷い匂いにしぶしぶ引き返すのを了承した

車までの道のりは行きより早く着きお茶をするのには早い時間には遊園地を出てた


その道すがら、他の七不思議について話してくれた


「他に『アクアツアーの奇妙な生き物』小さな水族館を模したアトラクションに見たことのない生き物が映っているのと『ジェットコースターの事故』これはジェットコースターで事故があったのにどんな事故か誰も知らないのに事故があったのは確かだったと誰もが口を揃えて言うのと『誰も乗っていないのに“出して”と聴こえる観覧車』観覧車の籠に誰も乗っていないからそのまま流すと“出して”と聴こえると言うのがこの遊園地の七不思議なんだって」


「ふぅ~ん でも、何も無かったな」


「そうだね 何かガッカリだったね おまけにただ臭い思いをしただけだし」


そんな会話を交わしながら途中相方の要望で服を買い、銭湯でさっぱりとしてから帰ることに



銭湯から出てブラブラと館内の休憩スペースで相方を待っていると暫くして相方がやって来た

途中で買った服は相方が今まで好んで着ていた服とは少しジャンルが違うものだったが、先程嫌な事があったばかりだし気分転換に違うのを買ったんだなくらいにしか思わなかった












それから数年後……



肝試しに行った事すら忘れてしまっていたある日

TVニュースで件の遊園地の観覧車が倒壊の危険があり遊園地自体解体されることになったと出た


あれから相方とは疎遠になり、いつしか時候の挨拶の手紙すらやり取りしなくなっていたのだがそのニュースを聞いてからふと相方のことを思い出す事が増えていた

あれから服の好みが変わり、食べるものも、友人関係も段々と変わっていったな

その辺りから付き合いが減ったのだ


それから暫くして携帯が鳴った

久しく会っていなかった相方との共通の友人からだった

曰く、相方が見つかったと…




驚愕だった

肝試しのあと疎遠になってから行方不明になり、警察に届けが出されていたのだ

それが最近見つかったのだと

場所は裏野ランドの観覧車の中だった

死後数年以上経っていて白骨だった上に他にも遺体や骨があり、遺体や骨の損傷が激しく最近まで判別が付かなかったと

どうやら連続殺人死体遺棄事件として捜査がされると…


相方は言っていた『七不思議には、別人になる ミラーハウス ドリームハウスの拷問部屋 “出して”と聴こえる観覧車 』まさか、まさかでもどこで何時?




入れ代わっていた






読んで頂きありがとうございました

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