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ファンタジーだけど都合の良いチート魔法なんて無い!

よろしくお願いします!

__ここは魔法の国。


金銀財宝思いのまま

という訳でもないですが

人々は皆豊かに暮らしておりました。


ある日女の子は

お姉さんにこう言われました__




「カーミン、

アイスを買ってきてちょうだい」


「嫌よ、ダーリア姉さん」



今いいところなの、とカーミンはアルタミに張り付いて動かない。


(アルタミというのはアルティメット・ターミナルの略称で、私達にとってのスマホの様なものである)



「そうやってドラマばかり見ていると

すぐに魔力制限を越えてしまうよ?

少し位出かけたらどうだい」


「オルセイン兄さんまで!」



このまま言いなりになってアイスを買ってくるのが気に入らないらしく、

ダーリアはアルタミの魔力供給を切ったが動こうとはしない。



「じゃあ俺も一緒に行こうか?」



兄が発した言葉に

カーミンはぴくりと反応を見せる。

だがカーミンは別にいい、と言った。



「あーあ、昔は

オルセイン兄さんとお買い物!

って喜んでくれてたのになぁ」


「う、うるさいわね……

一人で行けるわよ!」



女の子は

ふん、と鼻を鳴らして家を出て行った。



(うまいことやったわね……)

(いやぁ、それほどでも)



__そんな二人の陰謀にのせられたことを彼女は知らない。



もっとお店から家が近ければ良いのに、と怠惰なことを考えながら歩を進める。


お気に入りのブーツの靴ひもが歩く度に揺れた。


少女は少し大袈裟にため息を吐くと

「大きくなったらアイス位余裕で生成できる立派な魔女になるんだから!」

と決意を固める。


彼女にとって、魔法はアイス食べるためのものらしい。



__ほどなくしてお菓子屋に着くと、カーミンはカップアイスを3つ買った。


ついでに新商品のクッキーも手に入れた。



少女は使いっぱしりにされていることを忘れ、上機嫌で帰路についていた。


鼻歌まで歌っている。



__そうだ、ちょっと近道して行こうかな。



冒険みたいでわくわくするし!、といかにも少女らしい理由でいつもとは違う道に足を踏み入れた。


しばらく歩くと、女の子は看板を見つけた。



【危険】




主語が無いじゃないの__


こう、中途半端な言い回しをされると追究したくなってしまうのがこの少女の性分である。



少女は構わずにずんずんと進んでいく。


やがて道端に転がる大きな影を見つけた。



何あれ__!


少女は驚愕した。なぜなら、その生物?からは少しも魔力を感なかったからだ。


この世界の生物は量の違いはあれど、皆一様に魔力を持っている。


にもかかわらず魔力を持っていないとなると、この世界の生物ではないことになる。



少女は好奇心を抑え切れずに謎の塊を覗きこむ。



「人間……!?」



初めて見る種族だ。


まぁそれが普通だ。


少女が声をあげたことによって、塊__人間がうっすらと目を開けた。

……気がする。フードのせいで顔がよく見えないのだ。


「腹……減った……」


「え、っと」


異種族とはいえ、困っている人を放置するのは……


悩んだ末に少女は恐る恐る口を開いた。



「クッキー、食べる?」


すると人間はすぐさま顔を上げ、奪う様にしてクッキーを受け取った。


そして、強引に袋を開けて口に詰め込む。


「あり、がと」



口の中にクッキーが入っているため、途切れ途切れだが、人間はお礼を言った。


言葉は通じるらしい。


だが少女はそれより、他のことに意識を向けていた。


フードの取れた人間の顔が







少女の好みど真ん中のイケメンだったからだ。




「好き……」


少女が半ば放心状態で呟く。


だが、食事中の少年にその声は届かなかった。


少女は慌てて口を閉じた。


聞こえてなくて良かった、と安堵しながら。



この少女の気まぐれによる寄り道が、この世あと、空前絶後の奇跡を起こすことになるのである!

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