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類は友を呼ぶ

「あ、あの、わ、私、なにもしてないですから、い、命だけは、おおお助けをぉぉ…」

身体をガタガタと震わせ、炎を出たり消えたりさせながら、涙声でホノカが言葉を発する。

「安心しなさい。あなたには何もしないから。私は現在進行形で伸びてるクロト(そいつ)を殴りたかっただけだから。」

それとは対照的に少女は明るく、楽しそうに答えた。

「とりあえず、そこらへんで座ってて。話があるんでしょ?そいつが起きたら話始めるから。」

ホノカは無言で頷きながら近くのソファに座った。


「痛たた…あれ、なんで俺こんなところで寝てるんだ?」

「それはアンタが勝手に私の事務所に入ったからでしょ、クロト。」

クロトの問いに少女が答えた。

「だからと言っていきなり殴ることないだろ、マキナ。ホノカもそう思うだろ?」

「元はと言えば、クロトさんが働きたくないとか言ったからこうなったんです!だから私がこうして仕事場見つけてあげたんです!!」

「俺に味方はいないのか…」

「はいはい、そこまで~。じゃあ仕事について話したいところだけど、まずは自己紹介ね。私は霜神 巻奈(シモガミ マキナ)。この事務所の支配者(オーナー)よ。」

「私は竜野 焔花です。クロトさんの婚約者(パートナー)です!」

「待ておまえら、自己紹介にしれっと自分の想いを上乗せするなぁ!!」

「なんですか、クロトさん。何か問題でも?」

「なに、クロト。何か問題ある?」

「いえ、別に…」

二人が笑顔でクロトに詰め寄ってきたが、明らかに目が笑ってない。


「じゃあ改めて仕事の説明をするわね。ここは『霜神探偵事務所』。この『最先端科学技術都市』の様々な事件が集まる場所よ。私は、ここのオーナーにして唯一の探偵。でも、基本的に歩き回るのは好きじゃないから、出来ればホームズ的な安楽椅子探偵になりたいの。だからアンタ達にはワトソン、つまり助手兼探索係をやって欲しいって訳。」

「そうか、わかった。じゃあ帰るな。」

「帰ったらまた殴るわよ?」

「すみません…」

「なんか、類は友を呼ぶというか、クロトさんが一方的に脅されてるっていうか…とにかく、似た者同士なんですね。」

「ホノカちゃん、私出来ればあなたを殴りたくはないけど、デコピンならしてもいいよね?」

笑みを浮かべながらマキナが言う。

「出来ればやめてください…それにしても、探偵事務所っていう割には、むしろ機械とかが遥かに多いんですけど…?」

床を見ながらホノカが首を傾げる。

「よくぞ聞いてくれました!私は、ここで探偵以外にも、機械を中心とした何でも屋をやっているの。例えば、あのAABとか。」

「え!?あれ作ったんですか!この、私が持ってる携帯端末型とかクロトさんが持ってる日本刀型のやつとかってことですよね!!」

「まあね。クロトの場合は元々のやつを改造しただけなんだけどね。ちなみに、私がさっきまで着けてた『機神鎧甲』デウス・エクス・マキナもその一つよ。」

マキナが自慢気に語る。

「あと、おまえ非合法の商品裏で取引してるだろ、チャカとかシャブとか。」

「それは言わない約束でしょ、クロト。」

「えっと、それって…」

「今更隠す意味もないか。私は、非合法の商品を売買するブローカーでもあるの。バレたら一発でお縄だけど、バレてないのか、それとも知ってて放置してるのか、とにかく、今のところは大丈夫よ。ちょっとゆっきーが何考えてるかわからないけど…」

「ゆっきー?誰ですか?」

「ああ、ごめんなさい。こっちの話よ。」

「珍しいな、おまえがあいつのこと口に出すなんて。」

「最近会ってないしね~。ちょっと気になっただけ。」

「二人とも、私を置き去りにしないでください!!」

ホノカが炎を出しながら訴える。

「クロト、この子いつもこんな感じなの?」

「だいたいこんな感じだな。」

「技巧の制御か… まあ、今のところは問題なさそうね。なんか色々逸れたけど、とりあえずこれからよろしくね。ホノカちゃん。」

「はい、マキナさん!」


ほっと一息ついたのも束の間、すぐに騒がしくなる。

「待って、来客よ。」

言うが早いか、扉を勢いよく開けたのは、

「ねえねえ、マッキー!!さっきお客さん入ってくの見えたけど誰!?」

茶髪をポニーテールにし、灰色の眼をくりくりさせながらマキナを見るハイテンションな少女だった。

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