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霜神探偵事務所
「あれです。」
「マジか…」
クロトが落胆した理由。それは『霜神』という名に心当たりがあったからだった。
「? クロトさん、どうかしたんですか?」
「いや…ちょっと昔のことを思い出したんだ…」
「…変なクロトさん。ほら、早く入りますよー。」
これが、クロトの人生を大きく変えることとなるとは、まだ誰も知る由もなかった。
「失礼しまーす。」
「…ついに来てしまった…」
「あれ、誰もいないみたいですよ?」
「そんな訳ないだろ、あいつは自発的に動くやつじゃグホォ!?」
ガシャーン!ズサァァァ…。
唐突にクロトが背後から殴られ、置いてあった机ごとなぎ倒された。
その様子に戦慄したホノカが後ろを恐る恐る振り返るとそこには、
「はい住居侵入罪で現行犯逮捕~。」
亜麻色の髪を腰まで伸ばした、碧い眼を持つ、右腕に機械のようなものを装備した眼帯の少女がいた。