表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

邂逅


ピピピー、ピピピー、ピピピー。

目覚まし時計の音が鳴り響く。

「んぅ…ぁあ…」

気だるげな声をあげながら、

一人の青年―剣崎 黒斗 (ケンザキ クロト)―は目を覚ました。

そして、ベッドから起き上がらずに顔を横に向け、

デジタル表示の時計を見つめた。

「もう11時かぁ…」

それは、年頃の青年が起きるにしては些か遅すぎる時間だった。

「さてと、飯でも食うか。」

クロトは、それを気にすることなく、少しクセのある黒髪を整えることもせずに、ブランチの用意をした。

トーストを焼いていると、ふと学院支給のカレンダーが目に入った。今日の日付には、“入学・始業式“と書いてあった。

「はぁ…」

ため息をついた。

登校拒否生徒。

所謂"不登校"。

クロトは昨年の入学式以来学校には行ってない。

"行けない"のではなく、"行かない"。

今の彼は学校に行く理由を見出すことができなかった。


チーン

トーストが焼けた。


トーストを食べたクロトは再びベッドに戻り、備え付けの端末を操作してホログラムパソコンを起動した。

勿論、電子の海の波乗り(ネットサーフィン)をするために。

端末を動かす。

画面が上から下に流れる。

面白そうな記事を探してクリックし、その内容を見て意外と面白くなくて落胆する。そんなことをだらだらと続けていると、

ピンポーン

なんともマヌケな音が玄関から響いてきた。

「ん?誰だ?」

久しく来客もなかったので、クロトは普段聞くこともない音に驚いた。

ピンポーン ピンポーン

今度は二回鳴る。

「今行きまーす」

気だるげな返事を投げかけ、クロトは玄関に向かった。


ドアを開けるとそこには、

「ネコネコ配達ですけどー、ケンザキ クロトさん いらっしゃいますかー。」

「え?」

配達員の格好をして伝票だけ持った、見知った顔の少女が、帽子を目深に被り、口元を軽く歪ませながら立っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ