第39話『夏の夜のダンス』
セミが煩く鳴き、気温は34度を超えて、天気は快晴。
そして今はバスの中だ、結局海にいく話は即決で決まってしまい、璃季も断ることができなくなってしまった、参加メンバーは、夜埜依、海莉、果歩、影祢、皇紀、そして何故か七条アリスがいるがこれで全員。
二日間お邪魔になる別荘は、影祢の家がよかったら使ってくれと、ニコニコしながら貸してくれたとか言っていた、バスで1時間くらい揺られながら窓の景色を眺めていると
「お姉さま?よろしければこちらをどーぞ!」
「果歩ちゃん、ありがとういただくね?」
果歩は背後から身体を乗り出しお菓子を璃季にあげる、クッキースティックにチョコをコーティングした定番のお菓子だ、サクサクッと食べる、周りをチラっと見ると個々に移動時間を楽しんでいるようだ、すると後ろの席から声が上がる
「うわぁ、見てくださいな!海が一望できますわ!」
「本当ですね、これは期待できそうです」
アリスは窓を開けて潮風を浴びる、皆が居るからか少し大人しい対応をする夜埜依、影祢は璃季の隣で小説を読んでいる、皇紀は……
「……かわぃぃ」
ずっと何の雑誌かわからないが、かわぃぃを連呼してはニヤニヤしている、いつものクールな皇紀は一体どこへやら……
1度トンネルに入るバス、景色は見えなくなるが直ぐにトンネルを抜けると海が再び登場、そしてバスはゆっくりと停車した。
どうやら到着したようだ、荷物をせっせとバスから下ろして国道脇にある石の階段を降りていくと別荘が見えた。
「立派な別荘ですね、うちのより大きいかと」
「いえ、ほとんど使ってはいませんし、ハウスクリーニングを行っていますが、誰も使用していないのであまり意味が無いと業者の方にも言われました」
海莉と果歩は小走りで別荘へ、海莉も果歩と同じくらい楽しみにしていたのだろうか?
早速別荘の中へ入るとまずシャンデリアが目に入る、2階と1階に今日泊まる部屋があるらしい、キッチンも自由に使っていいのと、冷蔵庫の中身も全部使って大丈夫だそうだ、毎日業者が冷蔵庫の中身を入れ替えているから品質管理は完璧らしい。
「うん、荷物も置いたし少し休憩に」
璃季はソファーに座ろうとすると果歩と海莉がこちらに来る
「お姉さま!何を言っているんですか!今から海に行くに決まっています!」
「そうですよ、行きましょう璃季さん」
2人がすんごい顔でこちらを見てくる、いや、移動時間で少し疲れたのと海には極力行きたくないってだけなんだけど、命と未来に危険が及ぶし………
「で、ではこうしましょう、今日は行きたい人が海に行く、明日は全員参加ってことでどうでしょう?」
「お姉さまの水着が見たいのですよ果歩は!明日雨が降ったら意味無いですし!」
「果歩さんの言う通りです」
海莉は果歩に賛同している、苦笑いのオレ、すると皇紀がこちらにやって来る、助け舟?フォロー?助かります!!
「そう言えば、お姉さまは泳ぎがまだ甘かった筈です、特訓しますから行きましょう」
神様は何時だって意地悪だ、何でこんな試練を与えるのですか?
皆もそれを聞いて乗り気になってしまい海に行くしか選択肢は無かった、浜辺に行くと潮風と波の音が心地いい、ちなみに水着の下は最強胸パットだが用心しないと行けない、軽く準備運動をして浅瀬まで歩く、ちなみに皆浅瀬よりもっと深い場所に居る、皇紀も5分間くらいそっちに居たがこちらに戻ってきた
「大丈夫です、海は怖くありませんし腰より少し下くらいなら泳ぐ練習にはちょうどいいです、さ、始めましょう」
ちなみに、鴒の奴は後からこちらに来る手はずになっている、親父達の仕事に立ち会っているらしい
「で、では」
皇紀の手に掴まり、パシャパシャ足を上下に動かす、下手くそに泳ぐのは逆に難しいと感じた
「この辺は大丈夫見たいですし手を離します、手をうまく水を切るように……そうです、出来ています」
元々泳げるが教え方が上手い皇紀に合わせてしまう、むしろ体力を余り使わずに泳げる方法を教えてくれているように感じる、泳ぎって奥が深い、しばらく練習に没頭していると沖から浅瀬に戻ってきた他メンバーはビーチボールを持って
「お姉さま、皇紀お姉さま?今からビーチボールで遊びませんか?」
アリスがビーチボールを手に話しかけてきた、皇紀はオレを見て目で『どうする?』と伝えてきた、波に水着を流されるよりはマシだと考えその遊びに参加することにした
ビーチボールを使う遊び、つまりビーチバレーはバレーボールのアウトドア版だが、今回は円陣を組んでボールを落とさないでパスを繋げる対決となった、ルールは誰に向かってもパスはOKだが、ボールは1度に2回までしか触っては行けない、自分が居る陣地より外に出てしまったら負け、2回砂場に落とすしても負け、罰ゲームもあるらしい。
先行は果歩
「ではいきますよー!!はい!」
手首でボールを空中に飛ばす、向かった先は影祢だ、ボールは風に煽られてフラフラしているが影祢は着弾地点を定め
「はい、夜埜依さん!」
うまくボールを両手で1度真上に優しく弾き、落ちてくるボールを今度は手首で皇紀へパスした
「私か、お姉さま!」
「え?はい!」
皇紀は正面に対峙するオレにボールを飛ばす、空中に漂うボールはたまに吹く風に煽られて進路を変えてしまうが線を引いた陣地内にはしっかり向かってきている、この角度ならアリスにパスするのが妥当だろう、オレはアリスにパスを回すと
「アリスさん、いきました!」
「え?!は!はい!行きますわよ!」
アリスは張り切ってボールに向かって腕をスイングしたが、ボールは綺麗にアリスの腕を交わして砂場に着弾
「嘘ですわ!!」
「アリスお姉さまあと1回で負けですよ?」
「か、果歩さん?今のは砂が目に」
「ダメですルールですから」
あ、泣いた……恥ずかしい所を見せてしまったのか、真っ白になっている、しかしバトルはまだ終わっていない、アリスがビーチボールを弾くと海莉か夜埜依かに空中でボールがゆらゆらと動いていた、自分か?と海莉は腰を低くするがボールは夜埜依に行ってしまう、しかし
「あ、きゃ!」
ボールは夜埜依の顔に当たる、その弾みで陣地から出てしまいその場で敗北が決まってしまった、夜埜依は退場してからもビーチバレーは続き勝者は果歩になった、あの皇紀が負けた理由は
『一瞬眩暈がしたんだ』
と言っていた、その後もお昼を食べてまた海に入り皆自由に、夏の空を満喫していた、時間も早く進み夕方、水着から私服に着替えた皆は晩御飯を作るためにキッチンへ、しかし皇紀だけは皆から少し休んだ方が良いと言われ、テラスで涼んでいた。
「皇紀さん?お加減は?」
「お姉さまか、大丈夫です、眩暈くらいで体調は崩しません」
テラスから見える海には夜空に輝く星の光が海を照らしていた、皇紀が座る椅子の隣に璃季は座る。
「明日で最後です、二日間とはいえ短いですね」
「はい、しかし良い気分転換です、お姉さまもしっかりと気分転換をしてください」
「そうですね、明日は何をするのか楽しみです」
星の光は海とテラスに居るオレ達を照らす、明日も良い天気だ、また皆がおかしな事を考えていても今は素直に参加しよう、璃季はここに来たことを今は少しよかったと思っていた。




