第3話『窓際の白銀、不注意のお嬢様』
「だぁぁー…………疲れだぁ…」
オレは屋敷に帰るなり部屋のベッドへ倒れる。自分の匂いがついたベッド、緊張とは違う疲れを1日感じたのが消えていく。
「だらしないですよ璃季様、その短いスカートでは淡いピンクの下着が丸見えでございます」
「っ!?や、やめいっ!!見んじゃねぇ変態メイドっ!」
璃季の罵倒を受けながらもいつも通り。
「あら、ついに女である自覚を持ち始めましたか?それに、そのヤンヤンした上に女の子姿で罵るだなんて……おっとヨダレが」
鴒を相手していると余計に疲れるからもう突っ込むのやめよう。
今日を振り返ると、本当に辛かった………
『は、初めまして。竹ノ宮璃季です、よろしく。』
『はい、皆さん。今日から3年の仲間入りをしました、竹ノ宮さんです。仲良くしていきましょう』
皆の視線がいてぇ……全部丸裸にされている気分じゃないか。オレは苦笑い、先生に指定された席に向かう。窓際から2列目で、オレが座る右側の女の子から挨拶をされたので軽く挨拶をする。そして左側の女の子は
『…………』
見向きもしねぇぞおい。見た目は銀髪で、髪を両サイドお団子にしてある。目は碧眼。お人形みたいな感じ、なのに見向きもしないとはな。やるじゃねぇの
『は、初めまして。よろしく』
『………ドウモ』
ちっさ!声ちっさ!しかもチラ見もしねぇのかよ?!喧嘩売ってるぞこれはよ!と挨拶をしているのもつかの間。始業式のため講堂へ移動。
『ぅぁ……女の匂い……頭がクラクラする……』
講堂に向けて歩いているが若干フラフラ、ポニーテールがゆさゆさ揺れる。前を見ていなかったのが悪かった、女の子とぶつかる。
『ひゃっ!!……あいたた』
『あ、わりぃ!!大丈夫かよ、怪我ないか?!』
女の子言葉を使わなきゃいけないが、つい素が出る
『あ、いぇ。私も前を見ていなかったので、申し訳ありません』
オレは腕を掴み立たせる。綺麗な人だ、長い黒髪、淡い紫の目。凛とした背筋、長いスカート制服がかなり似合っている。どこかで見たような…………………
『どうかされましたか?私の顔になにか?』
『あ、あのー。お名前を聞いても?』
『あ、はい。私は十文字影祢と申します』
十文字………十文字…………思い出さねぇ、なんか聞いたことあんだよなぁ、誰だっけなぁ
『あー、オレ……わ、私は竹ノ宮璃季と申しますワー、おほほーっ』
やばい、鳥肌がぁ…十文字と名乗る女の子はじーっと、こちらを見てくる
『な、なにか?』
『いえ、わざわざ喋りにくい口調にしたので驚いていたのです。本当はそんな喋りにくい口調ではないのでしょう?』
いやまて早い早いバレるの早い!!まだここに来て数時間だぞ?!まて、瑞穂も確か…紫苑にソッコーバレたとか言ってたな……【詳しくは原作チェック!】
『そ、そんなことございませんのことよ?!あ、急がないと行けないので、し、失礼!!!』
『あ、お待ちに!』
オレはとにかく講堂へ走った。バレたか?いや、大丈夫だ。めちゃくちゃ嫌だが見た目と声は女だ。これを武器になんとかして切り抜けるんだ。講堂に入ると決められた席に座り、お決まりの長ーい担任や学院長のお話を聞いて。始業式が終わり教室へ、自分の席の机に頭を乗せて
『カエリタイ、鴒にメールをしよう』
オレは早速隠れて端末を起動、鴒に【(´・ω・`) カエリタイ…】と送ると
【気張れ(`・ω・)b】と帰ってきた、畜生覚えてろよ……
端末をポケットに仕舞うと視線を感じた方向へ、顔を向ける
『……ぁ』
すると直ぐに窓の外へ顔を向けた。なんだこの子、オレは立ち上がりその子の机の正面に立つ
『あ、あの。お名前を聞いても?』
『寺兎海莉………よろしくです』
寺兎…って!?あの寺兎自動車の寺兎か?!寺兎自動車って言ったら、世界シェア指3本に入るとこじゃねぇか
『よろしくお願いします、オレ……私のことは好きに呼んでください』
私って、寒気が……寺兎はペコッと頷くとそれ以上何も言わなかった。時間は進んで放課後、寮に案内されたがまだ住むと決めていないので寮の場所だけを聞いて、屋敷に帰宅。そして今になる
「さすがはお嬢さま学校だな、金持ちばっかじゃねぇかよ。」
「貴方もそのお金持ちさんですからね。自覚してくださいポンコツ様」
「てめぶん殴んぞ」
ガバッと起き上がりファイティングポーズを取ると、鴒は床に正座する。
「落ち着いてくださいませ。この里馬、まだポンコツ様に申し上げなければいけないことが御座います」
「主人に向かってポンコツってな……もういい。ゲームすっから出てけ」
オレは携帯ゲーム機を手に取り、着替えないまま起動
「千早様が今日いらっしゃいます。夜に」
「ふーん、千早がね。…………ぇ?」
オレはゲーム機を落とす。千早が来る?なんで?なにかしたか?
「入学祝い+やっと学校行ってくれたお祝いをするそうですよ、薫子様も一緒にですが。」
なんでわざわざんなことすんだよ、あの千早は……
「はぁ、面倒だ。オレはゆっくりしてぇのに」
「仕方ありません、二人がどうしてもと。サプライズも有るらしいです」
「サプライズ?どうせくだらねぇことだろ、薫子が来たら馬鹿にされるだけだしー」
オレはゲーム機を拾い電源を切る。布団に潜って顔だけ出す
「どうせまだ来ないし、ちょっと寝る。」
「全く、わかりました。1時間後に起に来ますからね」
鴒はオレの部屋から退出した。
「今日話したのは、十文字影祢、寺兎海莉か。最後のは話したというかあれだが」
明日もあの教室かよ………やっていけんのかなオレは。