五.日常(友達との弁当)
学校に着いた俺はまず教室へといつも通り向かった。
教室に入ると、親友の優輝が話しかけてきた。
「おう!繋今日も眠たそうだな。」
「ほっとけ」
『柏木優輝』こいつとは幼稚園からの腐れ縁でアニメの話とかしてよくだべっている。
友好関係が広く、優しい奴だ。また、ルックスも中の上で学ランがとても似合っている。本人は気づいていないが、女子たちには人気がある。
「なんだ。今日はやけに冷たいな。いつもなら『いや~昨日の夜ギャルゲ-してたからねむたくてな。』て、感じな事を言い返して来るのに。何かあったのか?」
本当にこいつはやけに鋭いな。好意には鈍いくせに。
「いやまぁ昨日ちょっとというか色々あってな。」
「何があったか教えてクレヨン」
どうしょうかと迷いブルー達にテレパシー(?)みたいなので聞いてみた。
するとキラーが
「話したければ話せばいい。でも、どうせ信用してくれないからな。あと、一つ言っておくが事故の事は無かった事になっている。そしてお前は生まれてすぐ両親をなくし、今は孤独な一人暮らし、という事で調律をとっているからな。怪しまれることはないから安心しろ。違和感が無いように振る舞えよ。」
と、色々念を押された。
結局優輝には誤魔化すことにした。
「あんまり気にするな。そこまで大事じゃない。アニメに巻き込まれただけだ。」
「おい、繋!何だそのリア充的な状況!最高じゃないか!」
「バカ、中二病発言だ。」
いきなり熱くなった優輝をその一言で何とか静められた。
「ふ~ん。ま、いいか。じゃ、また後でな~。」
少し納得いかないまま俺の所から去っていった。
―昼休み―
この学校は弁当制で自由な所でとって良いことになっている。
「おーい!つーちゃん!」
という甲高い声が後ろから耳に入ってきた。
振り向いて見て見るとそこには莉奈がこっちに向かって来ていた。
毛先だけ少し茶髪で、肩にギリギリ当たっていない長さが特徴的な黒髪を揺らしながら駆け足でだ。
(もっと落ち着きを持てよな。)
「つーちゃん一緒に弁当食ーべよ!」
近くまで来て手を後ろに回し、少し前屈みの状態で言ってきた。しかも、満面の笑みで。
「だからそのつーちゃんての止めろよ、莉奈。」
「気にしない。気にしな~い!それで一緒に食べるの、食べないの?」
この活発な女の子は『神藤莉奈』。隣のクラスで、昔からの幼なじみ。いつもこうして弁当に誘ってくれる。
髪は何故か水泳もしていないのに勝手に毛先だけ少し茶色くなるそうだ。莉奈も優輝と同じく、ここの制服(紺色のブレザーに膝まである紺色のスカート。また、胸に赤の蝶々型にしたタイがついている)がとても似合っていて、男子達にも性格上からもモテている。
でも、やっぱり恋愛に鈍いんだよなぁ~。
「いいけど優輝誘ってもいいか?」
「ゆっき-を?別にいいけど~!」
そして俺は近くにいた優輝を呼んで莉奈と俺と優輝で弁当をとることにした。
―屋上―
屋上には珍しくあまり人気がなかった。
そういえば母さんがいないって事は俺の弁当はどうなっているんだ?
作る人いないのに。と、優輝がビニールシートを敷いている間に考えていると、
「はい。これ。今日の弁当ど~ぞ~。」
莉奈が日課のように弁当箱らしき包みを渡してくれた。
「お、おう。ありがとうな。」
どうやら昼食は莉奈が作ってくれているみたいだ。ちなみに莉奈の家は両親は健在だ。だが、料理はいつもお菓子が食べたいとの理由で良く作っているらしい。
などと考えていると優輝が
「いいよなー。繋。いつも神藤の弁当食べれて。お前はアニメキャラか!」
と軽く冗談混じりで言ってきた。
「だって、つーちゃん作ってあげないとコンビニ弁当ばっかりで見てられないし。入っているのは私のと一緒で手間もあまりかからないしね。」
笑顔で明るく返してくれた。
どうやらこの世界の俺はコンビニ弁当ばっかり食べていたようになっているらしい。
(まあ、きっとそうなると思うけどな。)
俺は弁当を開けて食べてみた。すると、とても美味かった。
「莉奈お前すごいな!とってもうまいよ!」
素の感想で誉めたたえた。
「もー。つーちゃんたら。おだてでもって何も出てこないよ!」
少し照れくさそうに言いながら頬を両手で押させていた。
「いやいや。おだてじゃないよとっても美味しい!」
本当に莉奈が作った料理はプロ並みだった。
「ふふふ。ありがとね。」
と言い、手を元に戻して、また少しだけ照れくさそうに笑っていた。
「そんなに喜んでくれたんだったら今日の晩ご飯力入れて作るから待ってね!」
「ああ、楽しみにして待っとくよ。」
どうやら昼だけでなく夜もあんな美味しい料理が食べれるらしい。
「このリア充がー!」
なんといきなり俺の弁当の卵焼きを優輝が取って食べた。
「やったな~。」
「お前がリア充だからだー!」
また、おかずを取っていかれた。
このやりとりを莉奈はクスクスと笑いながら横で見ていた。
こうして三人で和気藹々(わきあいあい)としながら弁当を楽しんで昼休みは過ぎっていった。
続く




