三十三.始まりの発端・後編
揺れが収まり、煙が晴れてきた。
俺は、『ミル』を解除してもう一度周りの状況を確認した。
隣のコートからの悲鳴は消えており、近くの足下には電灯が粉々に砕けて散乱していた。
(莉奈達が心配だが、今は後回しだ。)
そして、今一番優先させるべきは目の前で起きていることだ。
「何でみんなを巻き込んだ!俺が目的なら俺だけ狙えよ!」
優輝が叫ぶようにもう一人の謎の人物と話していた。
「うるさい。こちらにも都合がる。だが、これ以上他者を巻き込まれたくなければ素直にこちらにこい。」
「……クッ。」
優輝は胸元を強く掴んで苦い顔をした。
改めて謎の相手を見ると、男のような声で、黒のマントで全身を覆い隠していた。目立つ特徴といえば、背中にある煙突のような大きな筒ぐらいだ。
(これぐらいなら俺が『クロー』で……)
万が一のためにレッドスターをポケットに隠していたのだ。
「おい待て、お前はまだだ。もうすぐスパークが来る。それまではそこで見ていろ。」
「なっ……。」
『クロー』を展開しようとポケットのレッドスターが、キラーが話終えた瞬間無くなった。
きっとキラーが使わないよう、机の中に出した時のようにどこかに転送したのだろう。
そうこうしているうちに優輝の方は話が進んでいた。
「さぁ、こちら渡して貰おう。ミリィ・レーファンを。さもなければ……」
謎の黒マントは右手を隣のコートに向けた。すると、手のひらから電気の放電が始まった。
「だからみんなを巻き込むな!」
優輝は胸元から手を外し、その手を一気に横に凪ぎ払った。それと同時に電気が発生し黒マントに向かって飛んで行った。
「ふん。まだまだだな。」
その電撃を黒マントは容易く弾き、電気を帯びた右手を優輝に向け、襲い掛かっていった。
(触れたら一貫の終わりだ。)
優輝は何とか逃れようと逃げるてはいるがそれもいつまでもつか……。
「まだなのかキラー!もういいだろ!」
「いや、まだだ。」
(もう俺にはキラーの考えが分からん)
俺はもう我慢の限界で優輝を助けようとした。
まさにその瞬間
「待ちなさい!」
優輝の方から女性の声が体育館全体に響いた。
(いったい誰だ!?)
「ミリィ!出てくるな!」
優輝が叫んだ後、さっき押さえていた胸元が激しく輝きだし、一瞬視界がつぶれる。
恐る恐る再び目を開けるとそこには長い銀髪をした紅のような赤い眼したを女性が立っていた。
続く




