第8話 「気がつくと・・」
しばらくして、呆然としている瀬奈・・・直立不動で立っていた体は少し振るえ・・・目からはポロリと涙が流れた。
「瀬奈・・」
ハッとした瀬奈・・・両手で自分の頬をこすった。
「裕兄ぃ・・」
「帰ろうか・・」
「うん・・」
俺は、瀬奈の手を引いて、香澄の家に向かった。何も話すことなく・・・香澄の家に着いた俺達・・・俺が瀬奈の頭をポンと叩くとわれに返ったかのように瀬奈はそそくさと家に入って行った。
目・・・目の前に裕兄ぃの顔が・・・・そして、唇には感触が・・・私はあの瞬間、何が起きたかわからなかった。そして、記憶が戻ったのは・・・家の前でポンと頭を叩かれた時だった。う・・後ろに・・・裕兄ぃがいる・・・そう思うだけで頭が爆発しそう―――――私は慌てて玄関に逃げ込んだ。
「ただいま」
「瀬奈・・・大丈夫だった。」
玄関で迎えてくれたのはママは、私を思いっきり抱きしめてくれた・・・
「うん・・」
「おにいちゃん」
ママの言葉にどきんとする私、な・・なんとか・・逃げねば・・・・そう思っていると裕兄ぃを見てママの手が少し緩んだ私はこの時とばかりにママの手を抜け、私の部屋に逃げ込んだ。
「瀬奈!!」
ママの声が後ろからしたが、とにかく部屋に入って鍵をかけ、そのままベットに倒れこんだ。ふと唇を触ると裕兄ぃの感触がよみがえってきてぼっと頭に火がついたみたいに顔が熱くなる・・・・わ・・・わたし・・・キスしたんだ・・・裕兄ぃと―――――そう思うとさらに頭がカーッとなり、さらに熱くなってきた――――どの位経ったんだろう。ドアを激しく叩く音でふと我に返った。
「瀬奈!!開けなさい!!」
もう叫んでドアを叩くママ・・・もう・・・いい加減にしてよ・・・ママはドアを叩き続けた。しかたがない開けるか・・ドアを開けると私は、一瞬で顔が熱くなった。そこには、ママの横に裕兄ぃが・・・なんでそこにいるのよ~何も心の準備も出来ていないのに・・・息を吸っても息苦しい・・・一体何が起こったの?と思ったら目の前が真っ暗になった。
気がつくとベットの上にいた。そして、起き上がるとベットにもたれかかるママと裕兄ぃが・・・私を心配してくれる二人の姿を見ると目から涙が出てきた。ごめんね・・・ママ・・・そして、裕兄ぃ・・・いや・・パパ・・・と思った瞬間、さっきの光景がよみがえり、また顔が熱くなった。しばらくボーッとしていると裕兄ぃをじっとみていると・・・パパって・・えっ・・・パパとキスしたの?わたし・・・ど・・どうしよう・・・で・・でも・・・キスしたことを思い出すと嬉しい・・・やっぱり好きなんだ私、裕兄ぃのこと・・――――例えパパでも・・・でも・・・わたし・・・どうしたらいいの?裕兄ぃ・・なぜ・・・キスしたの?苦しいよ・・だってパパなんでしょう・・そう思っていると睡魔が襲ってきた。
翌朝、ママと裕兄ぃの声がかすかに聞こえる、まだ眠いし~目も開かない・・・もう少し寝させてよ・・・
「瀬奈に本当のことを言うつもりだ。」
裕兄ぃの声がしているが聞き取れない・・・しばらくして、ママの声が響いた。
「責任とれるの!!」
責任ってどういう意味?
「ちゃんと面倒見てくれるの?」
「もしもの時は、ちゃんとするよ・・・」
ん?ちょっと待って、ママいきなり裕兄ぃがパパとして、私の面倒を見るの!!!思わず目が開いて、さっきまでの眠気はどっかへ飛んでいった。私は飛び起き、ママと裕兄ぃのところへ走っていた。
「どういうこと!!」
私の姿を見た二人は驚いていた。
「瀬奈・・・」
「だから、裕兄ぃが私のパパってわかったら、ママは、いきなり、裕兄ぃにあずけるの?そんな人だったなんて!!」
パチン!!
乾いた音が部屋に響いた。ママが私の頬を叩いた・・・
「ママのバカ!!!」
そのまま・・・私は家を飛び出した。そして、裕兄ぃのマンションで一人泣いていた・・・




