第10話 「瀬奈」
私は裕兄ぃが運転をする車の助手席に乗っていた。そして、後ろにはママと真澄が乗っていた。ふと携帯を見ると今日は私の15歳の誕生日だった。私・・・誕生日って好きじゃない。だっていつも従姉妹のお墓参りに連れて行かれるから――――でも今日は、いつもと違うの・・・
お墓の前に立ってお祈りする私、その横から裕兄ぃが
「ここに眠っているのがお前の本当の母さんだ。」
そう言って、私の手を引いてお墓の裏に連れて行った。そして、ある文字を指差したそこには享年―――えっ?わ・・・わたしの生まれた日?どういうこと?私が裕兄ぃをみるとやがて重い口が開いた。
そう―――――あの日、実家に帰っていたかえでが急に産気づき慌てたかえでの両親と旦那、そして、あかねが急いで車に乗って病院へ向かった。そして、あの事故が起きた。相手は飲酒運転の無保険車を乗り回しているとんでもない奴だった。
俺が病院に着いた時には、すでにかえでの旦那の両親が・・・背格好は60才台後半くらいだったかな。かえでの旦那は、一人息子でしかも40歳になってようやく出来た一粒種だった。そんな両親に彼の死という衝撃は大きかった。そう既に二人を残して亡くなっていたのだった――――かえでと瀬奈を残して、そしてそこに医者がやって来た。
「残念ながら・・かえでさんは・・生まれてきた赤ちゃんの顔を見て、安らかに息をひきとられました。」
医者はそういい残して、俺達の元を去っていった。やがて、俺たちは看護師に連れられ新生児室に連れて行かれた。
「あそこです。」
まだ名前のついていない女の子が入っている保育器を指差した。それが瀬奈だった。それを見て二人は、ため息を付き俺に言った。
「あの子を見てもらえないですか?」
「えっ?」
今なんて?俺は戸惑った。おれ自身、結婚相手を亡くしたのに――――子供・・しかも赤ちゃんを見ろって?俺はその時どんな顔をしてたんだろう相手の顔も開いた口が塞がっていなかった。
「俺も・・・」
「わかっています・・・けど、わしらじゃもう面倒を見切れんのじゃ。」
二人は私のほうをじっと見ていた。
「な・・何故です・・」
「わしらはこの通りもう既に年をとり過ぎておる、それにわしは余命2ヶ月じゃ・・・今日孫が顔見れただけでもよしとしないと。それに妻も昨年、脳梗塞で左手が不自由で・・・」
そう言って固まった左手を見せた。その時だった。香澄がやってきた。
「お兄ちゃん!!」
俺は、香澄に向かって首を横に振った。両手で口を押さえ、呆然とする香澄・・・俺達が新生児室の前にいるのに気付いた。
「で?なんでお兄ちゃんたちここにいるの?」
俺は、黙って、さっき見ていた赤ちゃんの入っている保育器を指差した。
「えっ?」
しばらくして、俺の両親と真澄も駆けつけた。この日、俺たちは従姉妹一家を亡くした瀬奈を残して――――しかし、俺達に問題が残った。瀬奈をどうするかだった。その時だった香澄が、私が面倒見ると言い出した。こうして俺達一家で瀬奈を守ることになった。
やがて月日は流れ、あの事故から3ヵ月後に瀬奈のお爺ちゃんが、そして、1年後におばあちゃんが亡くなった。




