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学生寮

ヒナリアはユラを連れて学生寮に来ていた。この学生寮は学校の校舎を出て、直ぐ隣に位置している。このシュテルクではほとんどの学生が寮住まいをしていて、ヒナリアもそれに該当していた。


 「あ、ヒナリア!」


入口に入る前に声をかけられる。声の主は玄関で掃き掃除をしていた寮監でるキミエ・マイコだった。彼女の特徴といえばその年齢不詳の若い風貌もあるが、その服装もまた特異なものだった。ヒナリアが訊いたところによると、どうやら彼女の出身地方の伝統衣装である「浴衣」というらしい。なんとも鮮やかな着こなしではあったが、違和感が否めない。そんな点でもある意味有名な寮監であった。


「全く、あんたのせいで私が怒られたじゃないか。」


「私のせいって?」


「あんたが使い魔を部屋に隠してたせいで、お宅の寮管理はどうなってるんだ?って教師から嫌味いわれるしいい迷惑だっての。」


乱暴な言葉遣いは彼女の標準装備だった。


「別に隠していたわけではありませんよ。ユラも外に出られる状態じゃなかったですし。」


ヒナリアは使い魔としてユラと契約したあと、寮の自室にしばらくユラを誰にも言わずにおいていた。それが寮生に見つかり、最初は幼年部の男の子を連れ込んでいたと疑惑をかけられ、ちょっとした騒動に発展してしまったのだ。その事が、バルテールの言う「使い魔との契約が好意的に受け止められていない」ということに繋がっている事は十分に考えられる。


「というか、結局連れ込む気か?」


「だってユラは使い魔ですもの。傍に置いておく事に何の後ろめたさもありませんわ。」


「あんたここがどこか分るか?女子寮。男子禁制なの。怒られるの私なんだよ。」


「ではユラを放り出すといいますの?」



そう言ってヒナリアは寮監に見せつけるように自分の前にユラの体を持ってくる。ユラはと言えば少し怯えた表情でマイコを見上げていた。


「そ、そそそんな、子犬みたいな目をしたってダメなものはダメなんだ!」


マイコはユラから目をそらして言う。


「ま、まあそれでも、どうしようもないし、とりあえずの一時処置としておいてやるとしよう。べ、別に許すわけではないからな。」


そう言ってもう一度眼下の使い魔に目をやる。


「はうっ、これは危険すぎるっ。」


そういって小走りに寮の中へ入って行ってしまうマイコだった。


「よかったですね、ユラ。」


「?」


当然のことながらユラは何が起きたかさっぱり分らなかった。

そして当然のことながらヒナリアには分っていた。



我が寮監の標準装備、ショタコン(ヒナリア推理)。


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