零.登場人物
【皇族】
・蘇 澄蘭
現帝の第二皇女で、十七歳。名は昭瑶。難しい書物を好む才媛だが、女性らしさには欠け、周囲からの評判も芳しくなく自分に自信がない。
日々の生活に苦しむ民に思いを寄せる、心の清い少女。
義兄の穏翊に憧れる一方、婚約者の遠珂との距離を掴みかねている。
・蘇 穏翊
第二皇子、二十歳。宮中儀礼と祭祀を司る典部の司令官、「采」の地位にあり、成人後も宮中での生活を許されている。温和な性格と見た目の麗しさで、女官たちの憧れの的となる。
澄蘭を市中に誘う。
・蘇 直謙
現帝の皇長子にして、皇太子。二十四歳。皇后を母に持つ。
真面目な性格で規律正しく、実直に政務をこなすが、やや柔軟性に欠ける面も。
・蘇 琴華
澄蘭の三月早く生まれた義姉で、現帝の長女。活発な性格とは裏腹に婦徳を弁え、諸芸に通じ、特に舞は名人の域。淑女の鑑として、多くの女官に慕われるほか、父帝にも目をかけられている。
穏翊の実妹で、顔立ちがよく似ている。
・蘇 冽然
大礼国五代皇帝、端明帝。堅実な国家運営を行う賢帝で、国内の食糧問題解決のために隣国に特使を派遣した。
皇后の息子の直謙や、寵妃の子である穏翊・琴華を可愛がる一方で、澄蘭とは生まれてこの方、ほぼ没交渉。
【妃嬪】
・崔 芙澤
中級官僚の娘。第三皇子を産み、中級妃の最上位である媛儀に任じられた。親友の病没後、彼女の娘である澄蘭を引き取り育ててているが、養娘との接し方に悩んでいる。
穏やかな印象の佳人。
・趙皇后
建国以来の名家の出身で、冽然の皇太子時代からの正妃。
・王雅妃
皇太子の側妃時代から、愛と情を一身に集める美貌の寵妃。新進気鋭の官僚家の出身で、長年、皇后に次ぐ最高位の妃を務める。
・沈 蕙蘭
父の功績への褒賞として、先帝の命で皇太子時代の冽然に嫁いだ。澄蘭を産み、冽然の即位後は中級妃の最下位「貞花」となったが、ほとんど顧みられることのないまま、病没した。
澄蘭と同じく、読書をこよなく愛した才女。
【女官】
・姷姷
澄蘭付きの侍女。忠義に厚いとは言えないものの、仕事は真面目にこなしている。着付けと化粧の腕は一級品。
長年別の妃に仕えていたが、二年前に、成人した澄蘭の筆頭侍女となった。
【その他】
・温 遠珂
異国の民を祖先に持つ、典部の若手官僚(最下層の忠業)。二十三歳。
隣国への特使に父と共に抜擢され、国交開始に尽力。その功績を受け、澄蘭との婚約が決まった。
書物と学問を好む、朴訥な青年。
・温 陽葵
遠珂の歳の離れた妹。十五歳。澄蘭の将来の縁者として、特別に、後宮での行儀見習いを許されている。
明るい性格のしっかり者で、最近婚約したばかり。
澄蘭を姉と慕う。




