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Twin Fate  作者: Hiz
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Chapter 2 The Ripple of Error 01

今日、全てはいつも通りだった。まるで昨日の出来事など、一度も起こらなかったかのように。


アイの能力は言葉通りだった。人々の記憶を消し、破壊された学校を元通りにしたという話は、決して誇張ではなかった。


とはいえ、感情的には多少の葛藤がある。昨日の戦場のような光景が目に焼き付いているのに、今は見慣れた日常の学校に戻っている。


魔法って、そこまでできるものなんだ…。


朝、授業が始まる前に、ユウは私に手を振って挨拶してきた。だが、授業が始まっても、彼は昨日について私と話そうとはしなかった。


一方のアイは…私にほとんど関心を示さない。今、授業が始まっているというのに、頬杖をついて窓の外を眺めているだけだ。


ユウのオーラは相変わらず金色だが、アイに関しては、昨日見たような巨大な黒いオーラは全く見えなかった。


先生の授業を聞いている最中、突然、先生の動きが止まった。いや、止まったというより、非常にゆっくりになり、まるで停止しているかのように見える。


同時に、周囲の景色が白黒に変わった。


そして、声が続いた。


「何してんだ? アイ」


「…あいつと話す前に、お前ともう一度確認しておきたい」


「昨日話しただろ? 記憶は消さないって」


「その件はもう議論する気はない、あれでいく。だが…あいつは女神だ」


「それがどうした?」


「この世界に女神なんているのか? いたとしても普通じゃないのは確かだ。俺たちが何かを話す前に、その点を考慮すべきだ」


アイの声は真剣だった。


ユウは両手を後頭部に組み、椅子をギシリと鳴らしながら背もたれに体重をかけた。


「でも、俺たち、隠すことなんてないだろ?」


「それでも情報だ。お前が重要じゃないと思っても、よく考えずに話すべきじゃない」


「やれやれ…なんでそんなに深刻なんだよ?」


会話がこれ以上私を不快にさせる前に、私は手を挙げた。


「あ、ええと…あの、聞こえてるよ」


ドカーン!


大きな音と共に、座っていたユウは立ち上がり、教室の後ろに目をやった。それは、アイが椅子から仰向けにひっくり返って落ちた音だった。


「あ、アイ!?」


そしてアイは、心底驚いた表情で私の方を見た。


「お前…どうやって俺の次元に入ってきた…」


…周りが古いドラマみたいに白黒になってるの、これがお前の言う次元、なんだね…。


私はため息をついた。


「特に何もしてないけど」


それからアイは椅子を立て直し、元通りに座った。


「…魔法の影響を受けないのは理解できる。だが、まさか次元に侵入してくるとは…あの女神どもは一体…」


声には不機嫌そうな響きがある。


アイは首を振った。


「どうでもいい。聞こえたな? 言った通り、俺はお前が女神だということを信用してない」


「じゃあ、どうしろって言うんだよ…」


そこでユウが陽気な声で口を挟んだ。


「まあまあ、エヴァは悪い奴じゃないって。昨日だって俺を助けてくれただろ」


「…ただの芝居かもしれん」


「警戒しすぎるとノイローゼになるぞ、アイ」


その言葉を受けて、アイは大きくため息をついた。


「分かった…警戒レベルを下げる」


この人の言葉遣い、おかしいな…。一体どんな世界に行っていたんだろう? 異世界って、そんなに警戒しないといけないほど危険な場所なの?


そして、そう言うなら、ユウの態度は正反対だ。はっきり言って、天と地ほどの差がある。


「ところで…ここは何なの? 他の人たちは危険じゃないの?」


私は動きの遅いクラスメイトを見ながら尋ねた。


ユウも続けた。


「そうだよな、危険はないのか?」


お前は自分の兄貴の力も知らないのか。


「時間の流れが遅いだけの次元だ。ほぼ『時間法則違反』ギリギリの次元…だから、話は後にしよう。面倒な奴が来る前に」


アイはそう言い、指をパチンと鳴らした。すると、周囲は再び色を取り戻し、全てが本来あるべきように動き出した。


…私と双子の兄弟がやって来たのは、学校の屋上だった。もちろん、昼休みだ。


屋上は通常、昼食をとる場所として有名だが、今は私たちだけだ。聞かなくても分かる。これもアイの仕業に違いない。


私はユウの隣のベンチに座り、アイはフェンスの端に立っている。


ユウは買ってきたパンを食べながら、口を開いた。


「普段は教室でご飯食べてるのを見るけど、お弁当持ってきてるんだな」


私の膝の上には、ユウが言ったように持ってきたお弁当箱がある。


オーラから意図を読み取れないので、あまり質問に答えたい気分ではなかったが、昨日のことを考えると、あまりによそよそしい態度をとるのは失礼だ。


「…どこで食べればいい?」


「食堂とか? ああ、食堂と言えば、昨日食堂で会ったよな?」


「その後のことはあまり思い出したくない…」


「ハハ、そうだよな。モンスターがいっぱい押し寄せてきて、危ないところだった」


ユウは笑ったが、それはあまり笑える状況ではなかった。


ユウはパンを食べ、私はお弁当の中身を箸でつまむ。


…気まずいな…。


この二人は異世界から帰ってきた人で、私は…女神。でも、それ以外のことについては、ほとんど話したことがない。二年前にクラスメイトだった時でさえ、私たちは親しくなかった。


そして私は…誰かに話しかけたことなんて一度もない。


「友達、欲しくないのか? エヴァ」


私は少しびくっとしたが、彼の顔を見ると…オーラは見えても、この兄弟の不思議な点は、私はオーラから一切意図を読み取れないことだ。しかし…その金色の瞳に悪意はない。私はそれを感じ取った。


私は小さな声で答えた。


「誰も私と友達になりたがらないよ」


「なんで?」


「…私…」私は少し言葉を止め、話すべきかどうか迷った。「…私には、相手の感情や意図を知る能力があるから…」


「へえ?」


「青いオーラとして見えて、その揺れを見れば、彼らが何を考えているか、何を求めているかが大体わかるの…」


私はあまり流暢に説明できなかった。生まれてから今まで、この力を誰かに説明する必要はなかったからだ。


「多分、女神の力なんだと思う」私は話を打ち切った。


ユウは「うんうん」と頷いた。


「そうだろうな。…じゃあ、俺が何を考えてるかも全部わかるのか?」


「そこまでじゃない。大まかにしかわからない。それに大事なのは…あなたたち二人に関しては、何も読み取れないの」


「あれ?」


「それに、色も他の人と違うし」


そこでユウは呟いた。


「異世界に行った時に得た力の影響じゃないか?」


私も、たぶんそんなところだろうと思った。


「ハハ、でも話がそれたな。お前の能力に興味がないわけじゃないけど、さっき俺が聞いたのは、友達が欲しいかどうかだろ」


彼は気づいていたのだろう。一年生の時から同じクラスだったから。…彼が失踪する前、一度私を助けてくれたことを覚えているだろうか。


だが、それは私の答えとはあまり関係ない。


私は首を振って答えた。


「さっき言ったでしょ。誰も私と友達になりたがらないって」


「それは答えじゃないだろ」


「…」


「欲しいか、欲しくないか、それが答えだ。…理解できるとは言わないけど、お前がそう思うのは、その能力のせいなんだろ?」


私は…そこまで彼に話していないのに。不思議なことに、ユウは全てを知っているかのようだった。私の悲しみを、この力のためにどれだけ拒絶されてきたかを知っている。


金色のオーラは、相変わらず温かい。


私は昨日、謎の少女の言葉を思い出した。…「もしお前と共存できる者がいるとすれば、それはユウでなければならない」


私はその輝く視線から目をそらし、小さな声で言った。


「…欲しい」


「ん?」


「…友達に…なりたい」


「聞こえないぞ?」


そうせがまれて、私は大声で叫んだ。


「友達が欲しいって言ってるでしょ!!!」


心臓が激しく脈打つ。絞り出した声は震えていた。怒りと、泣き出しそうな気持ちが混ざっていた。


もうたくさんだ! 一人でいることを自分が選んだ道だと偽るなんて! そんなはずがあるか!? 他に選択肢がなかったからこそ、そう思い込もうとしただけだ!


誰が一人でいることに耐えられるというんだ! 一人でご飯を食べる? 一人で映画を観る? もううんざりだ!


感情を爆発させた後、気づけば私は息を切らしていた。


「ハハ! やっぱり面白いな、お前! 友達が欲しいんだな! じゃあ、俺が最初のお前の友達になってやるよ!」


「えっ…?」


私は差し出された手を見つめた。


喜ぶべきなのか…それとも、いつか失うかもしれないと恐れるべきなのか…。


「この世界には友達登録フレンド・アッドシステムはないから、握手で代わりな。な?」


しかし、彼の声を聞くと。


理由は分からないが、頬がジンとした。そして、私は差し出された手を掴んだ。


…少しごつごつした、けれど力強い手のひらだった。


冷たい肌に染み込む手のひらの温かさを感じた。それはオーラだけではない、実際の温もりだった。


どれくらい握っていたか分からないが、離したくなかった。…もう少しだけ、この時間が続けばいいのに。


「あ…あの…」


そして、私が何かを言おうとした、ちょうどその時。


「さっさと付き合っちまえばいいだろ、クソが」


しばらく黙っていたアイが口を開いた。


ユウはアイを咎めた。


「アイ! もう少し言葉を選べよ」


「次回からメロドラマをやるなら、俺を呼ぶ前に終わらせとけ。…それから、お前が見ているのはただのオーラじゃない」


アイは私の目を見た。鋭い、燃えるような赤い瞳。待って…この人の目の色、前は黒じゃなかったっけ?


ユウと同じように、何か関係があるのだろうか…。


「ただのオーラじゃない?」


「正確にはオーラだが、それはお前が魔法の概念がない世界で生まれたから、そう理解しているだけだ。お前が見ているものに対する理解が、ただのオーラで止まっている」


だが、アイは真実を口にした。


「お前が見ているのは、魔力だ」


「魔力だって?」


「青色は一般人の色だ。もちろん、この世界の全員が、お前が見たような青色をしている。感じてはいなくても、誰もが持っているものだ。…そして、ユウのは金色だろう?」


「あ、うん」


「あれが魔力の色だ。なぜなら、実際はユウは… …いや、これ以上深入りする必要はない。お前が知っても無意味だ」


急にまくし立てたかと思えば、勝手に話を打ち切るなんて!


魔力…じゃあ、昨日私が見た、空を覆い尽くすほどの漆黒の巨大なオーラは、魔力だったっていうの?


私は少しずつ、アイの恐ろしさ、強さを理解し始めていた。それなのに、まだ疑問が残る。


「でも、今、私はあなたからは何もオーラが見えないよ?」


ユウは眉をひそめた。


「マジかよ? こいつは魔導士なんだぞ。見えているのが魔力なら、アイの魔力も見えないとおかしいだろ」


「昨日は見えたんだけど、今は見えない…」


アイは腕を組んだ。


「ふむ…スキル『Fake』(フェイク)の効果を無視して見抜く、だと?」


「「え?」」


アイはそう言うと、剣のように手を構え、自分の胸を突き刺した。不快な音が響いた。


「おい!? アイ!」


ユウは驚いたが、血は一滴も流れていない。


アイが手を引き抜くと、体には傷跡一つなかった。


「『Shadow Army』(影の軍勢)。たとえこれが影の分身に過ぎなくても、俺は本体と同じように見えるスキルを発動させている。裸眼だろうと、魔力での視覚だろうと、シーア(預言者)の千里眼すら欺けるはずだ」


そこでユウが私の耳元で囁いた。そうでなければ、私はアイの言っていることを理解できないだろうからだ。ユウはこう言った。「シーアは、偽装を見破るスキルを持つクラスなんだ。そのクラスの得意技だぜ」。


つまり、アイの影の分身には魔力が全くない。アイは偽装スキルを発動させ、本体と区別がつかないように魔力があるように見せかけているはずなのに、私はそれを見抜いたということだ。


アイはため息をついた。


「お前は、異世界のクラスの目をも上回る目を持っているということだ。…女神の目か。俺も欲しいくらいだ…」


それを聞いて、ユウは手をかざして遮った。


「まさか、今度はエヴァの目をえぐり出す気か!?」


「安っぽいホラー映画か?」


「だって、マジでやりそうな口調だったじゃん…」


正直、私も今、鳥肌が立っていた。アイの行動は、どうも予測しにくい。


アイは結論づけるように言った。


「これで、デコイがあいつを欲しがる理由が分かった。…目以外にも、女神の体のどこに利用価値があるか分からないが。デコイがそれを何に使うかは不明でも、女神の力がデコイの手に渡るのはマズい」


「そうだよな。俺たち、めちゃくちゃ強いけど、女神の力となると…」


女神は、私たちに力を与えた存在そのものだぞ、とユウは言いたげだった。


最強のユウとアイ。しかし、それらの力は女神から与えられたものだ。


もし女神の力がデコイの手に渡ったら、何が起こるか分からない。


アイは腕を組んだ。


「…当面は、警戒を続けるしかない。どうせ結界は張ってある。デコイに近い魔力の侵入があれば、すぐに対処できる」


「マリオみたいにプリンセスを守るってことか!?」


「そんなところだろ」


アイはユウにそっけなく答えた。


そして、ユウは何かを思い出した。


「あっ!? 今立ってるのが影の分身ってことは、お前、今家で寝てんのかよ! ずるいぞ! 今度俺にもやらせろ!」


「はあ…」


どうやら、そういう結論に達したようだ。デコイを片付けるまでは、この二人が私を守ってくれる。安心できると言えばそうだが、誰かに守ってもらわなければならない現状に、少し居心地の悪さも感じる。


だが、私はそれを受け入れるしかなかった。女神の力を持っていても、私ができるのは他人の魔力が見えることだけだ。モンスターと戦うことすらできない。


私はユウとアイを見て、笑顔で言った。


「とにかく…ありがとう、二人とも」


…心の中では、マリオはプリンセスを守るんじゃなくて、助けに行くんだよ、とツッコミを入れたくてたまらなかったけれど。

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