Chapter 1 Awakening of Light 01
子供の頃から、私は他の人よりも多くのものを見てきた。
「見る」と言っても、感覚としてはもっと抽象的で、言葉で説明するのは難しいけれど、その「見えているもの」を理解することはできた。
担任の先生が塾の費用をごまかしている時、彼は必死に言い訳をしていたけれど、私は彼が焦っているのを知っていた。
近所のおばさんが宝くじに当たった時、彼女は喜んでいるのを知っていた。
うーん……こんな例えだと、ちょっと安直すぎるわね。
じゃあ、こうしましょう。
おばあちゃんが亡くなった時、私はおばあちゃんを見たけれど、悲しみを感じなかった……なぜなら、おばあちゃんが死を恐れているのではなく、むしろ、何年もの間寝たきりで苦しんでいた状態から解放されることに安堵している、ということを知っていたから。
お父さんがお母さんに浮気を告白する、そのずっと前から、私はお父さんがずっとそうしていたことを知っていた。
態度と内心が異なっていても、私はいつも見抜くことができた。
だから、嘘をつくなんて簡単なことは、いつでも見破れた……。
「エヴァ、俺たちこれからカラオケ行くけど、一緒に行かない?」
放課後の教室で、ぼんやりと座っていた私に、声がかけられた。
カラオケ?
顔を上げ、男の子を見た。えーと……名前は覚えてないな。
それでも、彼の全身を覆う『オーラ』が震えているのが見える。いや……波打っていると言った方がいいかもしれない。
誘っているのが完全に悪意だとまでは言えないけれど、純粋な善意でもない。たしか、彼は隣のクラスの不良グループとよくつるんでいる子だったはず。
合コンとか、そういうノリで誘っているわけじゃなければ、多分、その先に起こるかもしれない性的な意図が目的だろう。
私は薄く笑った。
「誘ってくれてありがとう。でも、この後用事があるの」
「え、そ、そっか……」
「うん」
そう答えると、男の子は少し不満そうな様子で立ち去った。
私の名前は『エヴァ』。
言ってしまえば、ごく普通の女子高校生だ。小さい頃から可愛いと褒められることが多かった。多分、そのせいだろう……毎日こんな風に口説かれるのは。
時々、少しうんざりする。
それに、人のオーラを見て、その人が近づいてくる意図を知ってしまうというこの変な能力のせいで……知らなくていいことまで分かりすぎて、かえって付き合いにくい人、礼儀知らずな人、と見なされることもあった。
以前は、これが精神的な病気なんじゃないかと思ったこともある。だけど、お母さんは誇らしげに言った。
「これはあなたの力よ。いつかきっと役に立つわ!」
役に立つか、って聞かれたら……まあ、そうだろう。少なくとも、相手がどういう理由で近づいてきたのかを知れるから、簡単に誰かに騙されることはない。
「……」
私は退屈しのぎにスマホの画面をスクロールした。当然、放課後に会う約束をする友達なんて一人もいない。やることはニュースを読むくらい。
……二週間前、メディアがこぞって大々的に取り上げたニュースがあった。
街からそう遠くない常盤の森で、爆発か何かがあったというものだ。
ニュースで見た爆発の様子は、かなり奇妙だった。
被害の痕跡は、まるで中心点から円形に何かが爆発したかのように広がっていて、地面や周囲が抉り取られたり、消滅したりしていた。
しかも、その爆発はあまりにも完璧すぎた。発生した謎の球状の空間は、普通の爆弾が原因とは思えなかった。
今でも原因や実行犯は見つかっていないが、二週間経った今でも、このニュースは話題になっている。しかも、話はどんどん飛躍して、あれは宇宙人の着陸痕だ、なんてことまで言われている始末。
私はそのニュースの写真を何度も見た……その中の何かが、私のオーラを微かに揺さぶるような気がした。
「宇宙人、ね……」
もし本当にいるとしたら、私自身が宇宙人かもしれない。
私のように、オーラが見えて相手の感情や意図を知ることができる能力を持った人は他にいないだろうから。
……そんなことをぼんやり考えていた、その時だった。何かが机にぶつかり、目の前でそれが一瞬消えたように見えた後、**ドン!**と大きな音が響いた!
私は二、三度瞬きをした。そして、何が起こったのかを理解した時……
「ちょっと、あんた!」
私は声を上げた。なぜなら、唐突にぶつかってきたのは一人の男子生徒だったからだ。
「いった……いっててて」
彼はうめき声を上げながら、バネのように跳ね起きた。
私はその男子生徒を見た後、ある種の違和感を覚えた。
彼の名前は『ユウ』。薄茶色の髪で、瞳も同じ茶色。顔つきは明るく、身長は一七〇台後半くらい。がっしりしていて健康的な体つきだ。
ユウは、高校一年生からずっと同じクラスのクラスメイトのはず……つまり、二年前からずっと、だ。だけど……
「……ユウ……なの?」
驚きが私の顔に浮かんだ。
「ん?ごめん、エヴァ。あいつらがふざけてぶつかってきやがって」
ユウはそう言いながら、クスクス笑っている友人グループにうんざりした視線を送った。男子たちの悪ふざけのようだ。
それからユウは、ぶつかった机を私の前に元通りに戻し、頭を下げた。
「本当にごめん」
私は彼のオーラを見た。
しかし、それは私が生まれてからずっと見てきた色とは違っていた。いつもの青い色ではない。
温かい『金色のオーラ』。まるで人間のものではないかのように。しかも、そのオーラからは何も読み取ることができない。
そのことに驚いたのもあるが、それ以上に驚いたのは……
「ユウ……」
「あー……ただ謝るだけじゃダメか」
「そうじゃなくて、あなたは……」私は言葉を区切った。「……二年前から、いなくなってたんじゃないの?」
私はそれをはっきり覚えている。
一年生の時、新学期が始まって間もない頃、ユウは突然姿を消した。
ユウと親しくなかった私は、彼がどこに行ったのか理由を知らない。だけど、奇妙なことに、その時、クラスの誰も彼のことに触れなかった。
まるで……蒸発したかのように。
そして今日、彼はここにいる。まるでそんなことが一度も起こらなかったかのように。
「二年間……」
ユウは不思議そうな顔で私の言葉を繰り返した。
……きっと変な目で見られただろうな、そう思って私は目を逸らした。
だけど、ユウの口から出た言葉は、私の考えとは全く違っていた。
ユウは薄く笑った。
「へえ……君、面白いね」
「えっ……」
「ユウ!エヴァを口説くの、まだかよ!?」
彼の友人グループが、面白がってそう叫んだ。
ユウは叫び返した。
「変なこと言って困らせるなよ!エヴァ、改めてごめん。次はもっと気をつけるから」
「あ、うん……」
私は短く答えた。まだ戸惑いが抜けず、金色のオーラを背負った彼の背中を見つめた。
……もしかして、海外から帰ってきたばかりなのかな?
そう自己解決しようとしたが、クラスメイトたちの態度がやはり変だと感じた。ユウが二年もの間いなくなっていたことを私は知っているのに、ここにいる誰も、久しぶりに再会したような素振りを見せない。
まるで……ユウはずっとここにいて、どこにも行っていなかったかのように。
その瞬間、私は背後から視線を感じた。まるでナイフを首元に突きつけられているような、ゾッとする視線だ。
私は反射的に振り返った。
私を見ていたのは、教室の一番後ろの窓際に座っている男子生徒だった。
彼は……ユウの双子の兄だ。
たしか名前は『アイ』。
ユウと同じ双子だから顔は似ているが、アイの髪は漆黒で、その瞳は鋭く、冷淡どころか凍えるような印象を与える。ユウより少し背が高い。
私と目が合うと、アイはすぐに視線を窓の外に戻した。
アイもユウと同じく、姿を消していた。
そして、アイのオーラはというと……。
……私は、
……何も見えなかった。
私はすぐに正面を向き直し、まだゾクゾクする首元をさすった。あれが、本当にクラスメイトから感じられるべき感覚なのだろうか……。
「この双子、一体どういうことなのよ……」
私はそう、独り言を呟いた。




