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鷹司(上里)美子の想い―1

 文字通りに小学校入学以来の親友と言える九条完子が、そんなことが考えている等、詳細が分かる訳が無いのだが、美子中宮陛下こと、鷹司(上里)美子は、色々とこれまでの九条完子との親友関係を考える程に、色々な意味で涙が溢れる想いがしてならなかった。


 本当ならば、とうに改まった呼び方をお互いにすべきなのに、未だに「完子ちゃん」、「美子ちゃん」と呼び合う仲のままなのだ。

 それ位に深く長い付き合いのまま、約60年余りの親友関係が続いてきた。

 ある意味では、奇跡としか言いようが無い関係ではないだろうか。


 私の記憶が正しければになるが、九条完子は、当時、北米共和国の大統領を務めていた徳川家康の孫娘として、更に織田信長元首相の姪孫として、織田信長と美子夫妻に預けられて、日本の学習院に、小学一年生として留学して来た。

 完子の実母の小督は、織田信長の妹のお市が産んだ三女になるからだ。

 更に小督自身が色々とあった末に、織田信長夫妻の下で暫く育てられた経緯がある。


 そんなことから、小督と徳川家康の嫡男の徳川秀忠が結婚し、その間の長女として産まれた完子は、日本と北米の修好の証の一つとして、織田信長夫妻の膝下で留学生活を送ることになったのだ。

 更に、私は義理の伯母になる美子から、

「完子は、貴方の同級生になるの。遠いとはいえ身内同士、仲良くしてね」

と直に学習院への入学前に頼まれることにもなった。


 そして、完子ちゃんと私は、学習院に入学以来、ずっと仲良く親友関係を続けることになった。

 変な話と言えば変な話かもしれないが、私はそれこそ裏の裏まで考える性格だ、その一方、完子ちゃんはそう深く考えずに、天然で物事を流しがちな性格だ。

 だからこそ、却って性格が違い過ぎたことから、親友関係が長く続いたのかもしれない。


 例えば、私の初婚になる鷹司信尚との結婚に至るまでの経緯がそうだ。

 私は、信尚から求婚された際、身分違いから正妻では無く、愛妾で構わないと公言したのだが。

 完子ちゃんは(私の伯母の美子が示唆したのもあるが)、

「私の親友が愛妾なんてトンデモナイ」

と暴走してしまったのだ。


 完子ちゃんが、深く考える性格ならば、(完子からすれば義理の大伯母になる)美子の言動を怪しんで、却って上手く物事が動かなかっただろうが、完子ちゃんは疑わずに動いてしまった。


 その為に、完子ちゃんが血縁関係等を駆使して動いたことから、私にはローマ帝国や北米共和国からの圧力が掛かることになり、その結果、後陽成天皇陛下の思惑、鷹司信尚に皇女を降嫁させようという思惑は打ち砕かれて、私は、完子ちゃんの義妹になり、更に鷹司信尚の正妻になったのだ。

(九条完子の夫、九条幸家の両親の九条兼孝夫妻の養女として、私が鷹司信尚と結婚した為)


 その後、私は九条家の娘として尚侍に就任することになり、その結果、今の夫になる今上(後水尾天皇)陛下に見初められることになり、更に禁断の知識と言える「皇軍知識」に触れることになり、夫の鷹司信尚が若死にするのを知ってしまった。


 それを知った私は、色々と悩んだ末に動き回らざるを得なくなり、最終的に最初の夫の鷹司信尚と死別した後、速やかに今の夫になる今上(後水尾天皇)陛下の下に中宮として入内することになったのだ。

 

 更に言えば、その時、完子ちゃんの妹の千江皇后陛下が既に入内していたのに、完子ちゃんは私が入内するのを、(千江皇后陛下が認めたのもあるが)素直に祝福してくれたのだ。

 本当に様々な裏を知って動いた自分としては、余りにも素直な完子ちゃんには、裏はどうにも明かせないことで、色々と申し訳ない想いがしてしょうがない。

 本当に何とも言えない親友になった。

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 美子さん視点でも「良かれと思えば何処までも考え無しに突っ走る」と思われている完子さん(^皿^;)自分が複雑な出生だからこそ『周囲を見回し、まず考える』事を第一にしてる美子さん的には「あり得ない」危な…
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