表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

九条完子の想い―1

 あらすじにも描きましたが、1658年が舞台になります。

 鷹司(上里)美子は、死病に掛った60年来の親友の九条完子と最後の会話を交わそうと、中宮の身をおして、九条家を訪問していました。

「完子ちゃん、まだ死なないで、私の親友でまだ居て」

「中宮陛下に、そのように言われては」

「そんな畏まったことを言わないで」

 私は、自宅に見舞いに訪れてきた美子ちゃん、美子中宮陛下に対して、そんなやり取りをすることになっていた。


 本当に美子中宮陛下だが、色々な意味で底が見えないというか、私には底が分からない存在だ。

 私自身が間違いない、と確信しているのだが。

 美子中宮陛下の実父は上里清で、実母は広橋愛の筈なのだが。


 実母の広橋愛については、正親町天皇陛下と織田(三条)美子の間の隠し子説が、世界中で通説化していると言っても過言ではない。

 美子中宮陛下自身が、そんなことはアリエナイ、と否定しているし、広橋愛自身も否定しているが。

 否定する程に、実は本当なので、否定されているのだ、と世界に噂が広まる事態が起きている。


(尚、本当はチグリス・ユーフラテス河の畔にあるマンダ教徒の村で、両親共にマンダ教徒から、広橋愛は生まれたとのことで、実際に外見等はその通りというか、アラブ系の女性なのが、広橋愛だ)


 そして、私は九条完子、つまり、北米共和国の第三代大統領の徳川秀忠の長女にして、再興を果たしたローマ帝国のエウドキヤ女帝の義理の姪(エウドキヤ女帝の皇配の浅井亮政の同父母妹になる小督が、私の実母になる)で、現時点で言えば世界中でも指折りの名家の出身の筈なのだが。


 美子中宮陛下と比較されては、世界中から微妙に格下扱いされてしまうのだ。

 それこそ、私は嘘だと確信している噂からすれば、どうにもその通りとしか言いようが無い。


 美子中宮陛下は、まずは正親町天皇陛下の外孫になる。

 そして、従一位に叙せられて薨去した織田(三条)美子の秘密の孫にもなる。

 更に言えば、北米共和国第二代大統領の武田信光の従妹になる。

 又、ローマ帝国の名目上は初代の大宰相の上里勝利の姪孫にもなるという、世界中でもトップクラスの名家の血を色々と承けた存在なのだ。


 だからこそ、今上(後水尾天皇)陛下の中宮に、美子ちゃんは迎えられることになったのだろう。

 更に、文字通りに世界中が賛同する縁談になった。

 今上(後水尾天皇)陛下の皇后陛下が、私の同父母妹の徳川千江であることからすれば、世界中とは言わないが、ローマ帝国や北米共和国、両国政府の最上層部が反対して然るべきなのに、美子ちゃんを、中宮に迎えることに、積極的に賛同する事態が起きてしまったのだ。


 今は崩御されたローマ帝国のエウドキヤ女帝が、鷹司(上里)美子が、今上(後水尾天皇)陛下の中宮として入内するとは、本当に喜ばしいことです。

 日本では一帝二后並立が、本来ならば当然だとか、皇室復興が完全に為された証になるでしょう。

 そう仰せになったことが、完全な決め手になったらしい。


 何しろ私の実妹の千江の養母であるエウドキヤ女帝が、養女とはいえ娘婿の重婚を推進したのだ。

 更に言えば、世界史上最大の女性の暴君と謳われていた女帝がである。


(尚、これは決して大袈裟ではない。

 あくまでも推定によるもので、これより多いのでは、と今でも多くの人が考えているのだが。

 旧モスクワ大公国内の住民の約5%が、エウドキヤ女帝の即位に反対して、武装抵抗したことから「大粛清」されたのだ。

 更に言えば、大粛清された人全員が、良くて無名の墓に葬られ、そうでなければ、斬首刑の後で遺体が文字通りに灰にされて、川に流される事態が起きたのだ)


 そんな女帝が、娘婿の重婚を推進するとは。

 更に言えば、一夫一妻を重んじるキリスト教の守護者という称号を帯びているローマ帝国の皇帝がである。

 本当に世界中の人が驚くことで、噂が真実視される最大の原因になってしまったのだ。

 ご感想等をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
エウドキヤ女帝は敬虔なキリスト教信者だが、徹底的に君主なので、信仰よりも政略を重んじる。 美子さん二世、野に放ったら危険すぎる存在。 政治家だったら超大国も滅ぼしかねない。(日本を含め)世界中の政治家…
 外伝ながら久しぶりの「戦国に皇軍来訪す」の世界を垣間見ることが出来てめちゃくちゃ嬉しい読者です♪(^^)  しかし史実の高度経済成長期日本を達成してのエンドマークだった本編を思うと30数年後の今回の…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ