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さぁ、灯りをつけて

作者: 二藍
掲載日:2024/08/01

[神に愛された人間たちよ]


神に愛された人間とはよく言ったものである。


生まれた頃から美形。

生まれた頃からの頭の良さ。

生まれながら持った才能。

そんな馬鹿げた言葉ばかりを並べて何になるというのだろう? それで君は満足するのだろか?


本当の天才は人に努力を隠すものだ。なによりもプライドが高いから。

はたまた努力をしていないと持っているのかどっちなんだろうね。

だから親からも期待される。


僕のお母さんは僕のことを『天才』と呼んだ。

僕のお父さんは僕のことを『勝ち組』と呼んだ。

僕は自分のことを『努力家』と呼んだ。


だけどみんな否定してくる。

光が当たらない限り物事は見えないのだから。

自分で光を当てることを知らないのだから。


僕の家族は僕に期待して将来の成果を掻っ攫おうとしていたんだ。

近所に自慢して、僕からお金を貰おうとしていたんだって。僕が寝た後話していたよ。



十歳の頃僕は思い知った。


秋晴れが素晴らしい日のことだった。

鱗雲が空に漂い、蝉の代わりに鈴虫が鳴き出すそんな季節。

廊下を一人で歩いていた時、クラスの男子が話していた。

「僕は神様に愛されている」と。

才能がある。努力をしていない。

耳に届くそんな話。


どれだけ努力しようが才能だと思われてしまう。これが僕の力だというのに……。



十一歳の頃僕は諦めた。

この地域では珍しく雪が降っている日だった。僕が友達に勉強を教えていると、

「いいよな、苦労もせずに理解できて」

と愚痴を漏らした。その時は笑っていた。もう外れない、外すことのできない仮面が顔にこびりついていたから。


だけどね僕も何回も教科書を読んで、何回も解説動画を見たよ。


みんなは僕のことを羨ましがって悪口を言うんだ。



みんなは信じてくれないから、僕は思いっきり努力することにしたよ。

みんなが頑張れば追いつける所に立っていたけど、みんなは追いつけない理由を並べては愚痴を漏らすだけだったし。

努力もしてみないで、ダラダラとできない理由だけを考える。

影の努力は見られることのない。

光を持って僕を見てくれる人間は存在しない。


確かに僕は神に愛された人間かもね。


君たちよりも顔はいいし、頑張れる。

あーあ、本当につまらない。

僕のライバルになる人間は存在しないのだろうか?


少年は孤独という猛毒に慣れてしまった。



だけどね、僕も目を見張った事があったよ。

「君は随一の努力家だね。だって私は君を愛していないもの。

どちらかと言えば嫌っているよ。

君に恵まれた両親はつけてないし、友達もつけていない。顔はよくしてあげたけど……」

と言った人物が居たんだよ。

あの出来事から十何年後、僕が交通事故で死んだときにある人物にあったんだ。

そしてこう言った。

「君は沢山のものを背負ってきたんだね」

って。



それと同時に真っ暗な空間に灯りがつく。

僕の後ろには今までのトロフィーや賞状はズタズタに破かれ、努力の結晶がキラキラと光っていた。

ポロポロと涙が溢れる。

僕は努力しなければ生きていけなかったのだ。周りからの期待に応え、完璧を演じるためには……、この努力が必要だったのだ。

「とんだ馬鹿だ。」



僕は神に愛されてはいなかったんだね。

本当におかしな話だ。

僕はとんだナルシストだったんだ!



君たちこそ神に愛された人間だよ。

「神に愛された人間たちよ」

読んでくださりありがとうございます。

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