この世界に、さよならを。
2064年4月5日私は、88歳の誕生日を病院の
ベッドで一人迎えた
実母は、中2の時に不幸な事故で40の若さで
この世を去った。父は、癌を患いながらも
驚くべき生命力で私と同じ年齢まで生き延び
天珠を全うした
私は、若い時長生きなんてしたくないと思ってた
どうせロクな事無いだろうし金欠で苦労しそうな
事は目に見えてたから
なのに幸か不幸か超健康体に育ってしまった私は
こんなにも長生きしてしまった
これまでに愛しい人、大切な人との別れに直面し
哀しみ涙を流してきた。そしていよいよ私の番が
回ってきた。死んであの世で再会したい人が沢山
いる。一番は、やっぱりお母さん。思春期に死なれ
話したい事も話せず、苦労かけた事も謝れず
産み育ててくれた事に礼さえ言えなかったから。
それに大人になったらまた違った話をきっとして
ただろうし。全然時間が足りていなかった。
お母さん、逢ったら沢山話そうね。苦労話も
泣いた話も、みんな笑って話をしようね。
心地良い眠気が私を訪ねてくる
痛いトコも
苦しいトコも無い
こんな最期誰が予想しただろうか
最期の眠り
最期の夢をみよう
あの世への旅の思い出に。
恐らく初めてタイトルを作中に入れない作品になりました。