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1-5: 最初の魔法

雑談や質問などしながら歩いてたら、座標を見るとおよそ40キロってところかな、そろそろ暗くなるし。それにしてもめでたく初日は野宿か、これもまた異世界らしいかもね。


「リリー、野宿の経験は?」

「残念ながらないんです、お役に立てなくてすみません」

「いいよ、気にしないで、聞いてみただけ」


前世では何回かキャンプしたことあるけど、大丈夫かな?


「とりあえず完全に暗くなる前に早めて火を起こそうか」

「火を、ですか?」

「うん、乾いた枝を集まってくれないか?」

「乾燥した木の枝ですか?わかりました」

「後でここに戻ってね、座標は…」

「満人様の位置情報は共有してますので、大丈夫です」


アイテムボックスから地図を取り出したら、本当だ、地図にリリーと俺の位置も表示されてる。


「そっか、じゃあ頼んだぞ、リリー」

「はい!」


リリーが戻るまでの間に俺はこの周りの警備でもしておこう、リリーがいるとは言え、万が一強い魔物が急に現れたら逃げるしか出来ないからな。


……


しばらく経ったらリリーが戻ってきた。


「ただいま戻りました」


「おう、お疲れ。早かったね、ってどんだけ集めたんだよ!?」


リリーが帰った途端、何もない空間に輪が出現し、リリーは集めてきた枝をいっぺんに出して、そしたらとんでもない量の枝が出てきた……


「満人様は乾いた枝を集まってって命令したけど、数は言ってなかったので、できるだけ多く集めた法がいいかと思いまして、ご迷惑ですか?」


ってリリーに上目遣いされて、泣きそうな顔で俺を見てる。くぅぅぅ!可愛い過ぎるだろう!こんなん見せられたら責められないよ!!


「いや、助かったよ、この量があれば今度はわざわざ集まらなくて済む。よくできたな、ありがとう、リリー」

「本当に?」

「本当だよ」


俺は肯定しつつ、リリーの頭を撫でて、安心させようとしている。本当はただなでなでしたいだけって言えないしな。


「お褒めいただきありがとうございます!満人様」

「うん、まずは火起こしの準備しようか」


俺は何十本の枝を残して、そのとんでもない量の枝をアイテムボックスに入れた、一体何千本あるのだろう?


そして枝を並べて、火を起こそうの瞬間に思い出した。


「あっ、着火剤もライターもないじゃん、何やってんだ俺、バカじゃねか」


えー、じゃあなんだ?原始的なきりもみ式発火でもやる?この野宿初心者の俺が?できるわけないだろう!


「どうしました?満人様?」

「こう聞くのもおかしいけど、リリーは火をつけれるアイテムワンチャン持ってない?」

「持ってはいないです、でも火をつければいいんですか?でしたらお任せを」

「できるの?」

「はい!」

「じゃあ任せた、この真ん中な辺に火をつければいい」

「わかりました」


続いてリリーは枝に向かって、多分呪文かな?を唱えた。


「火を司る精霊、ディランドよ、力を貸してください、その灼熱な吐息であらゆるものを焼き尽くせ。《ファイアボール》」


その直後に小さくて丸っこい炎がリリーの指先に現れて、リリーはそのボール状の炎を枝の中心に飛ばした。


「今の呪文は?」

「スベルのことですか?」

「そそ、さっき唱えたあれ、あのスベルじゃないとダメ?」

「スベルはだいたいで大丈夫です、雰囲気や自分のイメージで想像する事が大事です」

「へー、じゃあそのスベルってやつは魔法を使用するたびに唱えないと成功しないものなのか?」

「いえ、今までの歴史上スベルを唱えないで全ての魔法を使える人もいます、スベルを唱えない魔法は無詠唱魔法と呼ばれて。その後の研究によりますと、どうやら適性っていうものがありまして。適性の話をする前に、満人様は魔法についてどれくらい分かってますか?」

「前世だと魔法は非現実的なことだった、でも人々の幻想と創作によって、いろんな表現があるけど、統一性がないと言うか、描写がバラバラだね。とは言えだいたいはイメージ湧くくらいかな、この世界の魔法に関しては全く分からないけど」

「なるほど、でしたらまずは属性からお話しましょう。この世界の魔法は七つの属性があって:火、水、風、土、光、闇、そして無属性、それぞれ司る精霊が居て、火の精霊=ディランド、水の精霊=アイヌ、風の精霊=フローベル、土の精霊=ケルモース、光の精霊=アルンケール、そして最後に闇の精霊=ヴェリアーティ、唯一無属性だけは精霊の力をお借りしなくでも使えます、だから魔力があれば誰でも無属性の魔法使う事が可能です、しかしこの世界では魔力をお持ちでない人もたくさんいます。ここでさっき話した適性は属性との相性みたいなものです、例えば私は水、土、そして闇属性の適性を持っています、この三つの属性の魔法を使う場合は無詠唱になります、このように、《土生成》《モディファイ》」


すると地面から土が集まってブロック状に生成された後、椅子の形状に変化した。


「土属性と無属性の無詠唱魔法はご覧の通りです。どうぞ座ってください、満人様」

「お、おう、どうも」

「残念ながら適性はここでは測れないので、測るためのアイテムは都市の教会や冒険者学園くらいにしかいないらしいです」

「そっか。そういえば、魔法を使うと魔力を消費しないとダメでしょ?」

「その通りです、魔力は時間が経つと自然に回復するのですが、基本魔力の回復速度は遅いため、膨大な魔力がいない限り、慎重に使用しないとダメです。もちろんポーションを飲めば素早く回復することも可能ですけど、魔力回復のポーションは制作がちょっと難しいのと、時間もかかるので、冒険者の方々はみんな国家認可のアルケミスト、つまり錬金術師のお店やもしくは冒険者ギルドから買っているみたい。何が起こるかわからない職業ですから、せめて一本くらいは確保しないと危ないですね」


それを聞いたら自分の魔力量が気になるじゃん、っと思いつづ、俺は自分のステータスを見た。


「えーっと、魔力量が3700、これって普通なの?」

「満人様はまだレベル1ですよね?それだと普通より多い方だと思います、現時点では好きなだけ魔法をガンガン使えないけれども」

「へー。でも適性がわからないだけで、魔法は一応使えるってこと?」

「そうですね、一応使えますけど、いきなり魔法を使う前に、魔力のコントロールを練習しないと危ないです。魔法はイメージが大事ですけど、魔力制御も同じくらい大事です」

「それはなんとなく分かるが、肝心なのは魔力をコントロールする練習って具体的にどうやればいいわけ?」

「うまく説明できませんけど、簡単に言うと血流をイメージする感じかな?体中に流れている血液のことを魔力だと想像してください、そしたら魔力の流れっていうものが感じられると思います」

「分かりやすい説明で助かったよリリー、一回やってみるね」

「はい、ぜひ頑張ってください満人様」


魔力が体中に流れてるのをイメージするんだ。心臓から、頭、胸、背中、肩、上腕、前腕、手のひら、指先まで、そして脚、太ももからふくらはぎ、足の指まで、どんどん全身に流れている、循環しているのを感じた。


「これが魔力の流れっていうやつか、なるほど」

「え?初めてなのにもうですか?すごい、満人様すごいんです」

「ややこしい言い方するな、誤解されるだろう」

「誤解?なんのですか?」

「あいや、なんでもない。それより魔力のコントロールはできたから、次はいよいよ魔法だね?」

「はい、魔力を意識しつつ、使う魔法をイメージするのです。さっき私が使ってたファイアボールで練習してみるのはどうでしょうか?」

「うん、そうだな、まずはそれで練習してみよっか」


イメージか、やっぱライターみたいじゃないかな、指をライターだと想像して、トリガーを押す、少しずつ火が出る感じ。指先に集中するんだ、魔力はガス、少しずつ少しずつ魔力を放出して、ここでスベルをだっけ?と思ったら、小さい火の玉がもう指先に浮いていた。


「あ、火の玉出た」


試しに魔力の放出を増やしたら火の玉はその分大きくなっていた。なるほど、しっかりとイメージ通りだ、形状も変えられる?四角い形の火を想像してたら、火の玉がちゃんと四角い形になった。消す方は魔力の放出を止めればいいかな、そしてその火のキューブは分解し、霧のように消え去った。


「よし、ちゃんと消えたね。魔法ってやっぱり面白いな」

「すごい!さすがです満人様、初めて魔法を使うっていうのにもう完璧に使いこなせていましたね、ビックリしました。それにしてもスベルなしで使えるってことは満人様は火属性の魔法適性をお持ちですね」

「リリーの教えが上手だからだよ」


その隙にリリーをなでなで、あー、髪サラサラだ、癖になりそう。


「あ、ごめんリリー。また勝手に頭をなでなでして、嫌だったら言ってもいいからね」

「大丈夫です、満人様、お好きでしたらいっぱいなでなでしてください。……それに気持ちよかったから……」

「ん?最後なんて?」

「なんでもありません!」


リリーは照れ隠しするように手で顔を隠した、それでも頬が少し赤くなっているのバレたね、かわいいな~。それはちょっと置いといて、今のでどれくらいの魔力を使ったか確認してみたら。


「2500も!?」


まさかこんなにも使ったとは、やはりいっぱい練習しないとダメだね、でも初日にしてはまあまあの出来じゃないかな。


つい先日コロナにかかった、喉が焼けるように痛い。

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