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1-18: サルサ村散策日記、その一

なんやかんやこの屋敷での生活も一週間ぐらい経った、朝は修行で昼は勉強会、少しずつだが、やっと修行に追いついたって感じ。やはり素手だと厳しい、『素手、即ち体術、身体操作、いかに体の全ての部位、筋肉、骨、効率よくかつ消耗が少なく動かすのが上達への鍵』ってセフィーナさんが言いましたね。と言っても、最近の修行ではセフィーナさんにかすり傷すら出来てないけど、魔法はまだ使ってもいないみたいだ、こっちはできること全部やったのになぁ、当然じゃ当然だが、どうやら俺って意外と負けず嫌いらしい。


「おはようですセフィーナさん」

「おはようセフィーナさん、今日も修行お願いします」

「おはようございますご主人様、お嬢様。本日の修行はお休みさせてもらいます、街に食材の調達をする予定です、そろそろ食材が切れますので。お二方はどうぞごゆっくり休んでください、連日の修行で疲れが溜まっているかもしれませんですし」

「街に行くの?リリーも行きたい行きたい」

「そうだな、確かにまだちゃんと街を回ってなかったね。セフィーナさん、俺たちも一緒に行ってもいいかな?」

「これは迂闊だった、メイドたるものなんってことを、まだご主人様とお嬢様を街へ案内していないとは、どうかこのセフィーナに罰を」

「いやいや、いろいろあったから忘れるのもしょうがないよ。それより普段の仕入れもセフィーナさんだけがするの?」

「いえ、普段は他の子たちがシフトでやっています、ちょうど今日の担当の子がちょっと病気みたいですので、私が代わりに」

「そうなんだ、でも病気なら魔法で何とかできない?」

「自分も昔同じような考えですが、勇者様は魔法を頼りすぎるのは体にとって毒だとおっしゃいました、メンエキリョク?を正常に作動するようにしないといけません、らしいです」

「へー、そうなんだ」


免疫力か、確かに回復魔法は万能じゃないってセフィーナさんも言ってたし、些細な病気なら一度かかって免疫をつけた方がいいかも。それとも勇者は回復魔法のギミックや原理を理解した上でそう伝えたのか?時間があったら勇者の研究を見よう。


「ねねね、早く街に行こうよ」

「そうですね、では行きましょうかお嬢様、ご主人様」

「やった!」

「あっ、一応聞きますけど、セフィーナさんってさ、街で俺とリリーのことなんて呼ぶつもりでした?」

「普通にご主人様とお嬢様でお呼びするつもりですが、何か問題ありましたか?」


可愛く首をかしげるセフィーナさんを見ると、一瞬お姉さんキャラってことを忘れさせるぐらいな衝撃だった。


「はぁー、先に聞いて正解だった」

「リリーは分かるぞ!お兄ちゃんって呼ぶんだよね!」

「おにいーちゃん?」


キュン~!!!破壊力やっっっば!いやいや、ダメダメ、ふざけてる場合じゃない。


「えーっと、セフィーナさんは普通に名前で呼んで大丈夫です、表向きの設定は親戚のお姉ちゃん的な感じで演じて欲しいんだ、メイドとご主人の関係だとややこしいだし、聞かれたら説明が大変で、何より目立つから。お願いできますかねセフィーナさん?」

「なるほど、でしたらご主人様のことは満人くん、お嬢様はリリーでお呼びします」

「助かる、あと雰囲気も、んーっと、もうちょっと親しい口調で」

「うん、分かった、そうするね満人くん。こんな感じでしょうか?」

「完璧だ、じゃあ早速だが、街への案内改めてよろしくセフィーナさん」


出発したものの、なんで転送ゲートの方じゃなく、館に向かってるんだ?そして俺たちは修行場じゃなく、別の地下室へと着いた。どんだけ部屋あるの?って疑問に思うぐらいまだこの館の全貌を把握してない。この前だって迷子したっけ、いくら見た目は子供とは言え、いい年にして迷子、しかも館内って、俺からしたらめちゃくちゃ恥ずかしい話だ、まあこの話は別の機会で話そう。


「セフィーナさんここは?街に行くんじゃなかったの?見た感じ倉庫っぽいけど」

「これはー、そっか、転移魔法で行くんですね」

「正解だよリリー、この倉庫は街の拠点と繋がっているんだ。倉庫と言っても主に食材を置いてるね、腐りにくいためにここもちゃんと勇者様が魔法をかけた、もちろん日用品も置いてある」

「さて、行こうか」

「うん」

「レッツゴー、です!」


倉庫の奥にいある扉を通ったら、まず映したのは暖かい雰囲気の家だった、強いて言うならいたって普通、外国のお家みたいな感じ。


「サルサ村の拠点へようこそ、拠点じゃなくお家って言った方がいいかな?ふふ」

「素敵な拠点です」

「すっごくきれい~」

「ゆっくりくつろぎさせたいけど、まずは食材の仕入れにしよう、そのあとに街案内だね」

「了解」


***


街に出て、真っ先に行きついたお店は八百屋?まあ、とりあえず最初は野菜や果物を買うみたい。


「おやおや、セフィーナではないか、久しぶりだね、今日は何を買いに来たの?あれ?後ろの子たちはどなたさんかな~見ない顔だね」

「こんにちは、ヘラさん、この二人は親戚の子供で、しばらくサルサ村に泊まるんだ。今日は食材を調達しつつ、街を案内できたらなって」

「こんにちは、風見っと申します、よろしくお願いします」

「こんにちは、リリーです」

「あらまぁ、いい子たちだね」

「ヘラさん、とりあえずいつもの品と、追加でおすすめの果物もください」

「毎度あり〜そうだな、よし、これにしよう。はい二人さん、これをどうぞ」

「ありがとう、これは?」

「ラモンの実だ、このまま皮ごと食べてみ、おいしいぞ」


黄色で、しかもなんかレモンみたい名前、酸っぱいんだったらどうしよう、おすすめって言ったし、さぞ不味くはないだろう。いやでもな、皮ごと?


「いっただきまーす」


おっ、いったか、さすがリリー。ささ、はやく感想を聞かせてくれ。


「あっ」

「あ?」

「甘くておいしい!!なにこの果実、めちゃくちゃうまい、お兄ちゃんも早く食べてみて」

「そうなんだ、食べるぞ、はむ」


口に入れた瞬間広がる甘味、なんかこう、人工的な甘みではなく、自然が生み出した天然な糖分、少し蜂蜜の風味もあった気がする。みかんみたいなふにゃっとした食感とまではいかないが、ちょっと歯ごたえがあって、うまく説明できない不思議な食感だ。


「ありがとうヘラさん、とても美味しかったです、セフィーナさんも食べてみて」

「ふむ、かなりうまいね、それじゃこのラモンの実もいくつかください」

「あいよ」


ちょっとの間に品は揃った、でも結構の数だな、どうやって持ち帰るつもり?さすがに《ストレージ》を使うんじゃないよな?


「合計で520ぺナだ、いやぁ、毎回毎回大量に買っていただいて本当にありがたいねセフィーナよ」


ぺナ、か。こっちの世界の通貨みたいだ、でも1ぺナは円に変換するとどんくらいだろう、後でセフィーナさんに詳しく聞こう。そうだ、この世界にやって来てだいたい一か月、まだ通貨とかの知識全く知らない、なぜならずっと森の中にいるからだ。多分だけどあのマニュアル書いてあると思うが、じゃあなんで見ないって?


......


見るのがめんどくさいから!!


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